暁 〜小説投稿サイト〜
流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
46 恐怖、憎しみ、そして安息
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解させることができたのだ。
彩斗は今までValkyrieへの怒りで無理やり心を鬼にして戦ってきた。
だが本当は心の中で泣き続けていたのだ。

「…ッ」
「泣いてるんですか?」

Valkyrieへの激しい怒りでただただ拳を振るい心の中では無様に泣きながら戦う自分が嫌も何もかも嫌になっている。
このまま全て忘れて、WAXAやオフィシャルがValkyrieを壊滅してくれることを期待してメリーやアイリスとディーラーに縛られた生活に戻るのが一番楽だろう。
だが目を閉じれば、ミヤが殺されかかったあの忌々しい光景とセントラルエリアが崩壊する際にプラグアウトが間に合わず無力にデリートされていくネットナビたちの悲鳴がそれを拒んだ。
ミヤやネットナビ、そしてそのオペレーターたちには不良たちやValkyrieの連中よりも明るく暖かい未来があったはずだ。
しかし今やネットナビはただのデータではなく、確立された自我を持った存在で友達や家族と変わらないかけがえの無い存在だ。
そんな大切な者を失った傷が癒えることなど無い。
彼らは理屈では計り知れない辛い経験を背負って生きていかなければならないのだ。
そう思うと怒りはますます燃え上がる。
だが今はそんなものが抑えられていた。

「なんでもないよ…」
「…嬉しいです。ずっと…こんな風に抱きしめて欲しかった…」

安らぎを求めて彩斗に縋るメリーだが、そんな心の中で涙を流し、憎しみの炎に焚かれる彩斗も同じようにメリーに癒やしを求めていたのだ。

















「…ねぇ?聞いていい?」
「なに?」
「あのさ…ミソラさ、遅刻したおかげで捕まらなかったわけじゃない?なのに何で怪我したの?」
「それは…その…いろいろあって…」

デンサンシティの湾岸病院の1室、面会謝絶の張り紙が張られた病室で並ぶベッドの上で響ミソラと氷川スズカは横になっていた。
本来なら才葉シティの病院に運ばれるところだが、どこもいっぱいでたらい回しにされた挙句、相当な距離があるというのに流されてきたのだ。
2人共命には別状が無かった。
だがここに至るまでの経緯にはスズカには幾つか疑問があった。
人質にならなかったはずのミソラが何故か怪我をしているということだ。
それも他の人質の生徒よりも酷い怪我で腹部に青あざができていた。
ちょうど靴跡のような形で誰かからものすごい力で蹴られたのではないかと医者は指摘したが、ミソラはとぼけてみせた。
それを明らかにするということは、自分がハープ・ノートであると明かすのに等しいことだった。

「こっそり学校に入ろうとしてフェンスを登ってたら落ちちゃって…」
「へぇ…そうなんだ」
「ハハハ…」
「全く…そんな危ないことして…
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