暁 〜小説投稿サイト〜
流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
46 恐怖、憎しみ、そして安息
[4/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
を使われただけで、何もされなったけど…もし」
「もう言わなくていいよ…」

辛い気持ちは十分伝わった。
これ以上、メリーに話させれば、心の傷口を広げてしまう。
辛いことを吐き出せば楽にはなるが、ちょうどいい量というものがある。
相手にその辛さが伝えて、一緒にその辛い経験に向き合って、心の支えになれる。
それくらいがちょうどいいのだ。
彩斗はそれをよく知っていた。
自然と腕が伸び、スターダストの残留した力に気をつけながら、メリーを抱きしめる。

「私、ずっと前から決めてました。お願いします…今、この場で…」
「それは…ダメ。でも大丈夫、君がいつか大人になって、好きな相手が見つかって、兄として送り出すまで、ずっと側にいるから…もう絶対、誰にも渡さない…!」

メリーは既に最初に受け入れる相手を彩斗と決めていた。
しかし彩斗は拒む。
確かにこれはメリーの本心なのだろうが、間違いなく動転している。
望まない者に襲われるくらいなら、今すぐ愛する彩斗に襲われる幸せを肌に刻んでおきたいという気持ちは分からないわけではない。
だがこれはValkyrieに捕まった恐怖から生まれたものだ。
誰かに襲われるなら、いっその事、一刻も早くという焦りがそうさせている。
彩斗はメリーを抱きしめつつも、拳を握り、唇を噛んでいた。

「クッ…」

ここまでの恐怖をメリーに与えたValkyrieへの怒りが再び込み上げていた。
脳の奥にマグマのようなものが煮えくり返るような感覚が走り、心臓が太鼓のように激しく脈打った。
だがミヤの時と同じく、不思議と胸に原因不明の痛みが走った。
ミヤが襲われた夜に病院のベッドの中で感じていたのと同じ痛みだ。

「うっ…」
「どうか…しました?どこか痛むんですか?」
「いや…」

胸の痛み自体は今に始まったことではない。
昔からの付き合いだった。
決まって暴力を奮おうとする時や激しい怒りを覚えた時に感じる。
暴力で人を傷つけるという行為に激しい嫌悪感と恐怖を覚え、それが原因の一旦だろうと片付けていた。
しかし既に彩斗には「暴力を奮うこと」への恐怖を克服している。
今になってそれが原因というのは無理がある。
だが、やはり暴力を奮うことや怒りを抱くことはいい気持ちのするものではないのだ。
事実、恐怖を克服してもなお、暴力を使うことしかできない無力な自分に悔しさと悲しさを感じて泣きそうになるくらいだった。
相手も同じ人間だというのに、話し合うという手段を使うこともできず、痛みを伴うことでしか分からせることができない。
それはあの夜、学校の不良たちを殺して初めて気づいたことだ。
断末魔になってようやく命惜しさに今までやってきたことが自分たちを無慈悲に殺す殺人鬼を生み出したのかを僅かだが理
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ