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流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
46 恐怖、憎しみ、そして安息
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「痛くないですか?」
「うん。大丈夫。気持ちいよ」
「ここ、内出血してます…それにここも腫れて…」
「大丈夫…痛みは殆ど無いよ。不思議なことに大体治ってるんだ」
「私が捕まったせいで…」

メリーは彩斗の背中を流しながら、身体中の傷に心を痛めた。
柔らかい泡で包み込むようにこすり、垢を落としていく。

「君が捕まったのは僕のせいだ。僕が1人で突っ込んだりしなければ…」
「でもそれが無ければ、今頃、この街…ニホンは混乱に包まれて崩壊していたってハートレスが言ってました。サイトさん…兄さんはこの国を救ったんですよ…」
「結果的にね…」
「結果的とはいえ、普通の人ならそんなすごいこと、成し遂げられません。本当にすごいことです。そんなすごいあなたのネットナビとして…妹として側にいられることは私の誇りです」

メリーはそう言って、腕を洗い始める。
確かに彩斗はオペレーターとして、兄としてはともかく人間としても優秀だった。
正直、望まずしてネットナビとなり、終いには妹になってしまったことを悔いることはあっても、誇りに思ってくれるのは複雑だが嬉しくもあった。
しかしメリーの今の一言が同時に彩斗に1つの疑問を与えた。

「…僕が戦ったら…誰かが助かる…誰かが得をする…」
「え?」
「いや…ところで君はこの街が…この国が好きかい?」
「別に…でも私はこの街はともかく、この国そのものには恨みはありませんし、無くなってしまえばいいとも思ったことはありません」
「僕もだよ。この街は大嫌い、でも国は嫌いでもない。この街には少なくても、国全体を見渡せば、優しくて思いやりがあって、勤勉な人たちがたくさんいるんだ。そんな人たちの居場所まで無くなって欲しいとは思えない。それにそんな人たちが頑張っているからこそ、この100年の間に多くの途上国が発展して、途上国っていう国の方が聞き慣れなくなっている現代でも高い技術力と信頼で有数のIT大国として世界をリードしているんだ」

彩斗が疑問に思ったこと、それは自分が復讐のために戦うことで誰かが”助かってしまう”ことだ。
彩斗がミヤのようにValkyrieの武器に触発されて苦しむ人を増やしたくないという気持ちはあくまで苦しんでいる人間が皆、善人であり、武器を手にするのは皆、悪人という前提のもとで成り立つものだった。
当然、助かる人間は善良な人間だけというわけはない。
下手な仲間意識と縄張り意識を持った不良たち、街に蔓延るヤクザ、スリやヤク中の軽犯罪者から殺人、強盗の重犯罪者まで街のゴロツキ、悪人は挙げればキリがない。
そんな悪人たちも、自分がValkyrieの計画を少しでも妨害するだけで助かってしまう。
あの夜に関しても、自分が助かって欲しいと思わない人間がほくそ笑んでいたのは疑いようが
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