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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十四話 破壊の宿業 [弐]
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ね?」
「ん?んー」
微笑みかけながらそう言ったヴィクトーリアに、ジークは少し考えてから、どこか嬉しそうな、自嘲するような、そんな複雑な表情をして返した。

「なんや、クラナくんと居ると、ヴィクターと居る時みたいに、凄く安心できるんよ……昨日今日に始めて会うた人なのに、ほんまに、不思議な人や……」
「そう……」
普段ジークから出て来ることのない意外な感想に、ヴィクトーリアは件の少年を思い出す。

確かに、不思議な少年だと思う。丁寧だし真っ直ぐな人間だ。以前何度か会ったときと比べるとかなり無口になってしまった印象が有り、雰囲気に陰が出来たが、口数が少ないなりに優しく、誠実さも持ち合わせている。そう言う人物だからこそ、ヴィクトーリアもジークに彼を紹介したし、ジークもヴィクトーリアの高い評価を信頼してそれに応じた。
だが同時に、彼から感じる陰は常に消えない、彼自身の人柄くる印象と、そう言う雰囲気にはどこかちぐはぐな所があった。

「でも、今回は本当にごめんなさい。アナタにもクラナさんにも本当に……」
「そ、そんなんちゃうよ!あれは半分事故みたいなもんで、もう半分はウチのせいや。ヴィクターはなんも、悪い事無い!」
まるで我が事のようにヴィクトーリアの責任を否定する親友に、彼女は困ったように小さく笑った。

そうだった。彼女はこういう子なのだ。彼女の前で弱いところを見せるなど迂闊だ、反省は、後で自室に返ってから……それはそれとして。

「ありがとう。やっぱりアナタは優しいわ」
「わぷっ」
身を乗り出すようにしていたジークを軽く抱き寄せて、胸の中に彼女を引き込む。驚いたようにパタパタと両手を振る彼女に悪戯っぽく笑いかけながら、ヴィクトーリアは続けた。

「それに、クラナさんも……」
「ん……うん、けど、甘えへんようにせな」
「あら」
やや真剣な声色で言ったジークに、ヴィクトーリアは意外そうな顔をする、普段本人をして、臆病と言う彼女には珍しい言葉だ。

「クラナくんみたいな人に甘えてしまうと、ウチ、ヴィクターにするみたいに色々迷惑かけてしまいわぷっ!?」
「もう、何時も言っているでしょう?迷惑なんかじゃないわ。貴女は何時でも甘えて良いし、苦しかったら頼って良いのよ」
「んむ……」
抱き締めた少女に、まるで聖母の如くヴィクトーリアは慈愛に満ちた笑みを向ける。

「でも、貴女が自分で何かを決意したなら、私はそれを応援するわ。試合でも、生き方でも……恋でも」
「こ、恋って……ウチ、れ……恋愛の事なんて考えたこともないよ?相手もおらへんし……」
「あら、そうかしら?案外直ぐ近くに、ぴったりなお相手が居るかも」
「……?」
何やら楽しむように言うヴィクトーリアに、不思議そうな表情でジークが首を傾げる。
彼女にと
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