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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十四話 破壊の宿業 [弐]
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すし、ジークは今日は私の家に来て貰うことにしました」
「ウチは平気やって言うたんやけど……」
「ダメよ、少なくとも今日明日は近くに居るわ」
「うぅ〜、ヴィクターは心配症やって〜」
憮然とした態度でいうヴィクトーリアに、困ったように腕を振って主張するジークを見ながら、クラナは思わず微笑を浮かべて小さく呟く。
「……良かった……」
「…………」
そんなクラナを見ながら、なのはは瞠目した。
クラナのそんなにも優しい顔が余りにも久しすぎて、別人を見るかのように、一瞬だけ呆然とする。そして同時に心のどこかで、なのははクラナを中心にして現れる、どこかはっきりとした境界線のような物を感じ取る。
自分が普段見ることすら叶わない、こんなにも暖かいクラナ笑顔をごく自然に引き出してしまう彼女達と……模擬戦闘と言う日常とは明らかにかけ離れた世界の中でしか、クラナの笑顔を引き出せなかった自分……
『あぁ……そっか……』
自分はこの二人の少女に嫉妬しているのか……と、唐突になのはは自覚した。
普段の自分なら抱きようもない感情を、今の彼女が意図もたやすく理解できてしまったのはやはり、先程の事が有ったためだろうか?
そんな疑問が頭の中を埋め、自覚してしまったその感情と、何よりそんな感情を抱いている自分に対する嫌悪で、なのはは気持ちを落ち込ませた。
そんなことを思っている内に、三人はひとしきり話し終えたらしい、ヴィクトーリア達を迎えに来た車に乗り込んだ二人が、窓を開けクラナと別れの挨拶を交わしている。
「それではクラナさん、クラナさんのお母様も、失礼いたします。きっとまた近い内にお会いしましょう」
「はい」
「うん、気を付けてね」
ヴィクトーリアの言葉に、クラナとなのはが短く返す。なのはは微笑んで居たが、クラナの表情にはある種の鋭さがあった。彼女の言葉から、来るべき大会を意識した為だ。
そんな彼に、ヴィクトーリアの後ろからヒョコッと顔を出したジークが、やや上目使いに、クラナを見る。
「えーと……そしたら、また今度やね」
「はい、きっとまた」
やや残念がるように言うジークに、クラナははっきりと頷いて答える。クラナのそんな様子に、何処か陰の有ったジークの表情が穏やかな微笑みに変わる。そうして少し迷ったような表情をすると、やや恥ずかしがるように頬を朱くして囁いた。
「その、練習、頑張ってな。大会でクラナ君の試合見るの、ウチ楽しみにしてるから」
「あ、は、はい!ありがとうございます」
「(あら……?)」
「(もしかして……)」
どこか嬉しそうに話す二人に、やたらとニコニコする女性が二人。
つい数時間前までの緊張と悲壮が嘘のような、微笑ましい空間が其処にあった。
────
「ジークは随分、クラナさんと仲良くなったの
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