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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十四話 破壊の宿業 [弐]
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部、クラナ君のおかげやね。ホンマに、ありがとう」
「……いえ、良かったです」
元気になってくれて。そう思いながら、クラナは小さく頷いた。
自分はただ、彼女を頬っておく事が出来なかったから……後悔しないようにと思う選択をしただけだ。何の事は無い、自己満足である。……いや、あるいは自分は、証明したかっただけなのかもしれない。
『あ…………あぁ…………』
ずっと……
『……助、けて……!』
ずっと心で助けを求めていたあの子を……助けるどころか……手を差し出してやることすら出来なかった。
あの日の自分と、今の自分は違うのだと言う事を……
そんな事が……出来る筈も無いと知りながら、それでも、証明しようとせずに、居られなかっただけなのかもしれない。
────
「……ふぅ」
「にゃははは……お疲れ様、クラナ」
それから数時間後。精密検査の前に病室から飛び出し、あまつさえ全速力で走り回った事を看護婦と担当医師になのは共々こってりと怒られ大いに頭を下げ、猛省した後、検査を受けたクラナは渋い顔をする医師に何とか当日退院の許可を貰い、病院から出た。
夕方にひと騒動あって、それから検査を受けてその日の内に退院とは、正直な所程度は低いにせよ半分奇跡のようなものだが、これらも一重に、なのはに対する社会的な信頼の賜物と言うべきか。
勿論医師が競技者としてのクラナの立ち位置や、本人の状態をかんがみて可能な限りクラナの意思に沿った決定を下してくれた医師の理解もあるのだが、何より教導官としてのなのはに対する信頼が(多少無茶をさせたにせよ)医師を納得させる大きな要因になったのだろう事は、クラナにも分かって居た。
「(お礼……言わないとだよな……)」
どのタイミングでどんなふうに言いだしたものか、そんな事を思い始めて、エスカレーターから降りたクラナは既にひとがすっかり失せ、ガランとしたエントランスホールに降り立つ。と、正面玄関となっているガラス張りの自動ドアの向こうに、人影が居ることに気が付いた。
「……あれ?クラナ、あそこに居るのジークリンデちゃんとヴィクトーリアちゃんじゃない?」
「え……?」
なのはに言われ良く良く目を凝らしてみれば確かに其れはジークリンデ、そしてヴィクトーリアだ。彼女達……と言うかジークはあの後、別口で検査やカウンセリングを受けていた筈だが……
「あ、クラナ君」
「クラナさん、先程は本当に……」
「あ、いえ……」
自動ドアをくぐったクラナに気が付くと即座に深々と頭を下げて来るヴィクターと、それに続くように慌てて頭を下げるジークに、クラナは恐縮したように両手をヒラヒラと振った。そんな様子をほほえましく見ながら、なのはは彼の後ろから顔を出す。
「二人も、今から帰り?」
「えぇ、あんな事の後で
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