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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十四話 破壊の宿業 [弐]
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で立ち直らせてもろて、今は競技選手として何とかやれてる。其れが、今のウチや」
「…………」
「せやから、少しは成長したつもりやってんけど……なんや、勘違いやった……みんなに申し訳無いなぁ」
あはは……と何処か悲しげな笑い声を響かせながら空を仰ぐジークを見ながら、クラナはしかし、およそ同じ方向を見て、小さく其れを否定した。
「それは違います」
「え?」
「もしジークさんが一人でずっと……その……自分のそう言う部分と向き合ってきたなら……言い方は悪くなりますけど、もっと、陰の有る人になってたと思うんです」
「それは……」
茜色が黒く変わり始め、遠く、小さな町明かりが光り始めた空を眺めながら、一言一言を慎重に紡ぐように呟く。
「ジークさんが今の……温かくて、楽しくて、ちょっと面白くて……何より優しい人になったのは……今のジークを作ったのはきっと、そう言う人達なんだろうから……胸を張っていいと思う」
「クラナ君……」
「ジークは自分にも、自分の好きな事にも正直に、怖くても頑張って向きあいながら生きてる。そんな人が、大切な人に自分を誇れないなんてこと、有るわけないよ」
小さく微笑んでそう言った彼の顔が、まるで其れまで見ていた彼とは全く別人の物のように見えて、ジークは瞠目した。瞬きをするまでの一瞬、彼が誰だか分からなくなる、それ程に雰囲気が今までの彼とは違いすぎたからだ。……と、不意に妙な所にジークは気が付いた。
「クラナ君、呼び方……」
「え?」
「ウチの事今ジークって呼んだ?さんづけや無くて」
「え、あ、いや!す、すみません……」
指摘されて初めて気が付いたように、クラナは慌てだす。と同時に、ジークの前の彼は元の雰囲気に戻った。刹那の間に起こった出来事に首をかしげつつ、ジークは少しだけ面白がるように、悪戯っぽく笑った。
「別にジークでええよ?寧ろそっちの方がいいくらいや」
「あぁ、いや、それはその、ちょっと恥ずかしいと言うか……」
「えぇ?なんで?」
「なんで、と言われてもその……」
顔をやや赤らめながらクラナは何やら急にテンションを上げて迫ってくるジークの顔から、目線を逸らす。別にだからどうだと言う訳ではないのだが、泣いた後でやや腫れぼったくなったまま潤んだ瞳や、少し朱くなった頬など、この少女の容姿は時折破壊力が高すぎる。歳の近い少女とあまり関わりの無いクラナには尚更だ。しかも何より、本人に自覚が無いだけに余計に性質が悪い。
視線を逸らしたクラナの後ろから、小さく、囁くように声がした。
「……ありがとう、クラナ君」
「?」
首を傾げたクラナの背中に、コツンと小さく温かいなにかが触れて、クラナは固まる。ジークの額が、背中に押し当てられていた。
「なんや、さっきまでが嘘みたいに元気出た……全
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