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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十四話 破壊の宿業 [弐]
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基本的に自己保存と言う欲求を本能の強い部分に持っているし、その為には自分のような“危険”には関わるべきでない。其れは分かっている。だが、だからこそジークは不思議だった。
「君は、ウチが怖くないん?」
「え?えっと……」
やや何と言った物か迷うように、クラナは視線を泳がせた。しかし其れは一瞬、すぐに真っ直ぐにジークを見ると、頬を掻いて答える。
「もしジークさんが本当に怖い人なら、ご飯作ってくれたり、あんなに楽しく話せたり、寝ぐせはねさせながら朝ごはんの匂いにつられてフラフラ出てきたりしない気がします……けど……」
「…………前二つはともかく、最期の一つは忘れてくれへんかなぁ……?」
と言うか寝ぐせって……とジークは意味も無く髪を触りながら朱くなる。別段変なことを言ったつもりの無いクラナは少し不思議そうに微笑んで首を傾げているが……
「こほん……うーん、うん……でも、やっぱりクラナ君には話とかなあかんな」
「……あの……無理に……」
「ううん。あかんよ、此処でクラナ君にちゃんと事情を説明するんは、ウチの義務やと思うから」
何処か吹っ切れたような顔でクラナを見るジークに、少しだけ笑ってクラナは頷き、彼女の言葉に耳を傾けた。
────
人間と言う生き物が、動物界に属する生物の中で最も個体の数を増やし、最も多くの地域に分布し、結果的に最も強い生物、万物の霊長としてこの世界に君臨する事が出来た大きな理由の一つは、道具を持ったことであるとされている。
その中で、他の生物を殺傷する事を目的として派性、進化した物がある。「武器」だ。
狩猟、或いは生命維持の為の自衛のために作りだされたそれらは、人間の歴史が進むうち、より他の生命を、或いはより敵対する
人間
(
どうぞく
)
をどれだけ効率よく殺害できるかに特化し始め、その歴史と技術を重ねて来た。
古代ベルカ、諸王戦乱期に置いてもまた然り。
近距離の敵を切りつけるために剣が。
その剣を防ぐための重厚な鎧を粉砕する為に、重剣や戦槌、戦斧が。
それらが届かぬ距離から敵を刺し殺す為に、槍が。
槍よりもさらに遠くから敵を近付く前に殺す為に、弓が。
そしてそれら全てを凌駕し、ただただ全てを破壊し尽くす為に、とある兵器達が。
といった具合に、人を殺戮する為の道具は人の技術と共に進化を続け、同じように進化した魔術と共に発展を重ねて来た。
しかしそんな時代に置いて、あえてその“武器”を使用する事無く、他者を絶命させる事は出来ないかと考えた物達が居た。
──使用する物はこれ即ち、鍛えられた己の肉体と磨かれた理──
──あえて“武器”ではなく、“技術”によって相手の命を粉砕する──
その拳が届く範囲のあらゆる人間の命を絶命させるためだけに磨き上げられた理
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