二十二話:お話と日常
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ケーキを食べる。美味い。
「ビックリするじゃないですか、リヒターさん」
「相変わらず、シリアスには向きませんね……」
「つい、投げ込みたくなってな」
文句を言ってくる二人を軽く流してアインハルトちゃんを見る。
やっぱりというか、ジークみたいに先祖の記録に苦しんでいたんだな。
できることなら傍迷惑な先祖を一発殴ってやりたい。
「すいません。私にもお二人のようにケーキを下さい、お兄ちゃん」
……やっぱり殴らなくてもいいかもな。なんというかそこまで堪えていないように見えるし。
取りあえず、可愛らしくあーん、と口を開けるアインハルトちゃんにケーキを一切れ食べさせてやる。
表情の変化はないが頬を赤くしながら食べる姿が可愛い。
「う、私も……あ、あーん」
「どうしたジーク? 別に虫歯は無いぞ」
「リヒターのアホッ!」
自分もとばかりに口を開けてきたジークに真顔で返してやると何故か罵倒されてしまう。
勝ち誇ったようなアインハルトちゃんの顔が魅力的だ。
まあ、俺もそこまで鬼じゃない。目を潤ませていかにも怒っています的なジークの口に俺のフォークごとケーキを突っ込んでやる。
「わふっ!」
「どうだ、美味いか?」
「か、かかか、間接キス……ふぎゅ」
「ジーク! しっかりしなさい!」
ボン、とでも効果音が付きそうな勢いで頭から煙を出しパタンと倒れるジーク。
ヴィクターが声を掛けるが本人はトマトのような顔ながらも至って幸せそうに眠っている。
「分かっていて弄ぶなんて……悪い男です」
「失敬だな、コロナちゃん。俺だって相手ぐらい選ぶさ」
「チャンピオンを何だと思っているんですか?」
「愛すべきおもちゃ」
「……実はミカヤさんとお似合いなんじゃないですかね」
コロナちゃんが失礼なことを言ってくるがそんなことは認めない。
俺がミカヤと似ているわけがない。
俺はジークにしっかりと愛情を注いでいるがミカヤは俺に愛情は注いでいない。
「ほら、コロナちゃんも君は私のおもちゃがお似合いだと言っているよ」
「アインハルトちゃん、助けてくれ」
「膝枕一時間で手を打ちましょう」
「ジーク、お前だけが頼りだ」
練習刀を引き抜くミカヤから逃げるためにアインハルトちゃんに頼ったのに何故か交換条件を出された。
俺の妹がこんなに計算高いわけがない。
このままでは埒が明かないので最終兵器ジークを呼び起こす。
ジークの耳元でボソリと呟く。
「………出禁」
「今ならなんでもするから許してー! ……あれ?」
「丁度いいところに起きてくれた。すまないが俺を守ってくれないか?」
「そ、そんな急に告白されても……」
「一体どう考えたらそう
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