二十二話:お話と日常
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おまけ〜ミカヤへ告白〜
「……好きだ」
「ふむ、私も君のことが好きだよ」
至極真剣な顔で告げられた好きという言葉にも動揺せずにミカヤは冗談を返す。
どうせ、いつものように冗談だろうと、本気ではないと思って。
「冗談じゃない、俺は本気でお前のことが好きなんだ!」
その返答にリヒターは怒鳴るように返す。ミカヤは思わず怯えて一歩下がってしまう。
それを見て自分の失態を悟った彼は顔を歪めて出来るだけ優しい声を出す。
「すまない……お前を怖がらせるつもりはないんだ。だが分かってくれ、俺の気持ちを」
真っ直ぐに自分を射抜いてくる青色の瞳がどうしようもなく心臓を打ち鳴らす。
彼女は平常心に戻るために乾いて唾も出なくなった喉を鳴らす。
しかし、顔は予想外の事に紅潮したままでいつもの凛々しさは感じられず、乙女を思わせる。
「その……好きと言うのは、Loveなのか? Likeじゃなくて?」
「分からないのなら何度でも言おう。好きだ、愛してる。この世の誰よりも」
「そ、そうか……すまない、少し混乱している。ちょっとだけ待ってくれ」
「……分かった」
何かを耐える様に目を閉じその場で立ち尽くすリヒターの姿をミカヤはボンヤリとした目で見つめる。
金髪青眼で背も高く、顔立ちも悪くない彼は改めてみるとドキリとしてしまう。
自分は彼の事をどう思っているのか。落ち着いてそう考えるはずだったにもかかわらず、何故か体は彼に近づいていた。
止めようと思えば止められる。だが彼女には止める気が起きなかった。
目前に迫る彼の顔、そして触れ合う唇。驚いて目を見開く彼。
そこまでなって彼女はようやく気づく。
「なんだ……私も君のことが……大好きなんだな」
悪友として過ごしてきたが、彼と居るといつも居心地がよかった。
燃える様な恋慕に駆られることは無かったが彼が他の女性と居ると面白くなかった。
冗談で好きと言ってもどこか冗談のような気がしなかった。
今まで気づかなかったのがおかしい程に愛していたのだ。
「それじゃあ……俺と付き合ってくれるか?」
「ああ、喜んでだ」
満面の笑みで微笑みかける彼女を彼は強く抱きしめる。
痛みを感じる程だが今はそれが心地よい。
彼女は彼の耳元に息を吹き替える様に囁く。
「浮気は許さないからね?」
「お前以外は愛さないさ」
「ふふ、そう言ってもらえて嬉しいよ」
甘い言葉をささやきながら彼女もまた、強く彼を抱きしめるのだった。
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