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元虐められっ子の学園生活
九十九 無双
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だ勝機がある!

「鳴滝ぃぃぃい!!出番だぁ!」

俺は鳴滝に届くよう、精一杯叫ぶのだった。

side out


「鳴滝ぃぃぃい!!出番だぁ!!」

「比企谷…っとぉ!了解だ」

比企谷から声がかかり、作戦が失敗したと告げられる。
未だに掴みかかってくる帯野をいなし続けて数分、息も絶え絶えで、腕も最初より下に落ちている帯野。
そのめには明らかな『疲労』と『絶望』が見られた。

「悪いが遊びはここで終わりだ」

俺は初めて構えを取る。
本を読んで学ぶこと11年。格闘技の至るところまで手を出してきたその集大成を使うときだ。

「まだだ!まだ終わってない!」

帯野は疲労した体に鞭を打って突進してくる。
俺はその掴みかかる腕に手を添えながら、愛読した書物の通りに足を運んだ。

――コウホ―――ハイホ!

「ぬわぁっ!?」

帯野の横を通りすぎながら足を絡めとり、背中から地面に打ち倒す。
倒れた帯野はいまだに何が起こったのかわからない顔で空を見て固まっていた。

「俺の勝ちだ…じゃあな!」

俺は倒れた帯野に向けてそう告げ、走り出した。

「アイツを止めろ!」

進行方向の先で、葉山が他の男子に呼び掛ける。
その横では比企谷が二人の男子に捕まっているのが見えた。

「ここは通さねぇぞぉ!」
「葉山の敵だ!」
「絶対に止める!」

そんなことを言いながら、葉山グループの3馬鹿男子が俺に向かって走ってきた。

「遅い、甘い、小さい!」

「うお!?」
「なっ!?」
「うわぁ!」

一人一人の腕を掻い潜り、素早く身を翻して回避する。
掴みかかった腕が空振りする事でバランスを崩し、3人は被さるようにして一斉に倒れ混んだ。

「鳴滝!」

目的の目の前まで来ていた俺は、比企谷が叫んだことで気を切り替える。
俺の横から葉山が飛び付き、捕まえようとしていた。

「させるかぁ!」

「お前は何時も甘いんだよ!」

倒れ込みながら俺を押し倒そうとする葉山の背中を踏み台に回避し、そのまま跳躍。

「沈め!」

その勢いのままに、棒に向かって飛び蹴りを放った。

『うわあぁ!?』

衝撃で倒れた棒は、支えていた白組男子諸とも倒れ込む。
俺は空中から着地し、ズザザザザッと地面を削って制止した。

『ワアアアアアアアアアアッ!』

歓声が沸き起こり、騒がしいくらいに辺りに響く。
踏み台になった葉山はとてつもなく悔しそうな顔をしつつ、俺を睨み付けているのが分かった。

「……はっ」

そんな葉山を見ながら鼻で笑ってやれば、逃げるように顔を反らす。
こうして今年の体育祭は幕を閉じ、明日からはまた通常授業が始まることになる。
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