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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十三話 破壊の宿業  [壱]
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ようと思えば今の倍は入れられるのだと言う事をクラナはちゃんと知っている。
それでも彼女は、娘であるヴィヴィオとの時間を……きっと、こんな自分との時間ですら、大切にしようと努力して、スケジュールを調整し、それでいて何時も、家族の前では笑顔で居てくれる。
そんな母親に自分の不注意と未熟さが、負担を掛け、予定を狂わせてしまった……そう思った途端、急激に胸の内で居たたまれない気持ちが膨らみ、そして……

「……すみません」
「く、クラナ……」
気が付けば、深々と、クラナはなのはに頭を下げていた。ただ静かに一言だけを述べて自分に頭を下げるそんな様子を見て、なのはは一瞬だけ、悲しそうに表情をゆがめた。
その言葉と動作が、あまりにも他人行儀で、申し訳なさそうで……自分にはどうしても甘えてくれないのだと、改めて事実を叩きつけられたような気持ちになる。けれど其れを悟られないように、なのはは優しい声で語り掛けた。

「もう……謝ることなんてありませんっ。クラナの心配するのは、当たり前なんだから、クラナが申し訳なく思ったりすることなんて無いんだよ?」
「…………」
その言葉を聞いても頭を上げようとしないクラナに、なのはは更に何かを語り掛けるか、迷ったように視線をさまよわせる。そんな所に……

「失礼します〜」
「?」
少し変わったイントネーションと共に、茶色がかった短い髪の女性が、部屋の中へと入ってきた。クラナにとっては久しぶりに見る顔であったが、同時にある意味では見慣れた顔でもある。

「え、は、はやてちゃん!?」
「うん、こんにちは〜なのはちゃん」
「…………」
部屋に入ってきたのは、八神はやて。フェイトと同じくなのはの幼馴染の一人であり、四年前の起動六課では部隊長。現在は管理局にて海上司令の地位に付く、名実共の出世頭である。

「はやてさん……」
「久し振り〜クラナ、元気しとった?」
「…………」
二言目には口をつぐんで頷くに留めるクラナにやや残念そうに笑いながら、はやては傍らから小さな小箱を取り出した。

「けど起きててよかったわ〜、お見舞い、なんてちょっと大袈裟かな〜思たけど……プリン買ってきたんよ。診察受けたら、三人で食べよ?」
「…………!」
「「(あ、ちょっと目が輝いた)」」
その言葉を聞いた直後にクラナを見てと、はやてとなのはは先程とは少し違う意味で小さく微笑んだ。

――――

一度簡単な診察を受けて、食事の許可をもらってから数分、部屋にはプリンを食べる三人の姿があった。

「…………」
「それじゃ、ヴィータちゃんが此処を?」
「うん。『なのはが血相変えてでてったぞ〜』言うて、私も、偶々仕事で近くの支部に来とったから、無事の確認ついでに、久々に可愛い弟分顔みとこ〜って」
無言でプリン
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