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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十三話 破壊の宿業 [壱]
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ただジークさんは、酷く憔悴したご様子で……搬送されるまでも、される際も、とても悲しそうに……精神的にも、とても不安定なご様子でした]
「…………」
その報告に、クラナは絶句する。せき込むように、彼は尋ねた。
『じ、ジークさんは今どこに!?』
[恐らくはこの病院の何処かにいらっしゃるとは思いますが……ですが相棒、今は少し彼女に会うのは待った方がよろしいかと……]
「なんで!?」
念話を忘れ、思わず声を荒げてクラナは問うた。そんな彼に、アルはやや気遣うような口調で答える。
[搬送されるまでの間、ジークさんはずっと仰っていました。「ウチのせいで」「ごめんなさい」と……今、ジークさんは相棒に対して相当負い目を感じていらっしゃると思います。ヴィクトーリアさんも付いていらっしゃいますし、今はまだ……]
『だったら尚更だよ!ジークさんにだって事情があるんだろ!?それなのに俺だけ被害者みたいな顔してジークさんの事ほとっとけって言うのか!?』
[そ、そうでは有りませんが……]
其れは普段のクラナを知る者からすれば、驚くほどに鋭い剣幕だった。念話でなければ、確実に外に聞こえていただろう。そんな中……
「……あれ?クラナ!」
「!?」
[あ、そうでした]
病室の扉が開いたかと思うと、その向こうから栗色の髪の女性が顔を出した。見まごう筈もない、母である、なのはだった。
「良かった……!」
「わっ……」
クラナと目を合わせたなのはは突然彼に駆け寄ると、その両手でクラナの手を胸の前でしっかりと包み、心から安心したようにそんな事を言った。突然の事に抵抗は愚か反応すら出来ないまま手を取られたクラナは、珍しく顔を朱くして狼狽する。何と言うか、取り合えず柔らかい。色んな意味で。
「あ、あの……!」
「あ……ご、ごめんね!」
声を上げると、なのははようやく離れて苦笑しながら胸の前で掌をひらひらと振る。パニックになった頭を立て直し、次に言うべき言葉を考える。
「なん……」
咄嗟に、何でここに、そんな言葉が出そうになって、クラナははたと口をつぐんだ。何故、など……分かり切った話だ。曲がりなりにも息子である自分が倒れたなどと聞けば、なのはの性格からして飛んでくるに決まっているのだ。どれだけ自分が避けても、遠ざけても、自分の母親であることを投げ出そうとしなかった彼女なら、なおさら……
「……仕事は……」
「え?あぁ、うん。大丈夫だよ。ヴィータちゃんにちゃんとお願いしてきたから」
笑顔で言うなのはに、クラナは心の奥底がチクリと痛むのを意識した。
なのはは、息子であるクラナが言うのもあれでは有るが、非常に優秀な教導官だ。担当している部隊だけでは無く、海陸問わず、多くの部隊から引っ張りだこになるほどの人気教導官で、仕事の予定は入れ
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