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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十三話 破壊の宿業  [壱]
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悲鳴のような声を上げて、ジークは小さく泣いた。

────


「っ!」
掛け布団が勢いよくめくれる音を立てて、クラナは目覚める。

身体を起こして、周囲をキョロキョロと見回してみた。
清潔感のある部屋だった。全体的に白く、初めに視界に入った天井も、壁も白い。外からは夕方の紅色の光が差し込んでいて、下から伝わる感触が、自分がベッドに寝かされてた事を伝えていた。

「此処は……」
[あ、相棒!目が覚めましたか!]
「アル?」
左を見ると、ベッドサイドの机の上で見慣れたペンライトがチカチカと点滅していた。其処から聞きなれた元気のよい声が流れて来る。

[おはようございます相棒。突然ですが、何処まで覚えていらっしゃいますか?]
「え?何処まで……って」
確か昨日はジーク朝飯の支度をしていて、その後小熊と、母熊と……それで、ジークが……

「そ、そだ!ジークさんは!?」
[落ち着いて下さい相棒。実は相棒には一つお伝えしなければなりません]
「え?」
[相棒はあれから、十年ほど意識がありませんでした]
「…………は?」
十年?どう言う事だ、何故それ程の時間……いやまて、問題なのは其処では無い、だとしたら今は一体何時だ?ジークだけでは無い。なのはやフェイトやヴィヴィオはどうしていて、自分はこれから何をするべきで……

[……あ、間違えました!十時間です!テヘッ!]
スパァンッ!!!!

と音を立てて、クラナは自らの愛機をベッドに向けて全力で叩きつけた。本当は床か壁に向けて投げつけてやりたかったところだが、壊れたりしたら困る。主に破片を掃除するのが面倒的な意味で。

「君をトイレに流すよ……アル……」
[ヒエエエエエェェェェェ!!!!?ちょ、ちょっと待って下さい!joke!!It`s jokeですって!!疲れた相棒の心に一粒の水をですね……!]
「今この状況じゃ冗談になって無いでしょ!!本気で焦ったよ!!!」
普段の無口っぷりまるでが嘘のように怒鳴り立てるクラナに、流石のアルも平謝りをして、ひとまずその場は収まる。ようやく落ち着いた頃、クラナが聞いた。

『それで……此処は?ジークさんとか……あと、あの熊とか……』
[はい。先ず此処は、ミッドチルダ西部聖王病院の三階の病室になります。あれからジークさんにコンタクトを取って通信機でヴィクトーリアさんと緊急ダイアルに連絡を行い、要請した救急ヘリでこの病院まで運んでいただきました]
『そっか……ジークさんは大丈夫?』
[はい。軽い擦り傷等は負っておられましたが、やや魔力欠乏を起こしている他は特に外傷、魔力関係の問題共に無く……ただ……]
少し口ごもるように其処で言葉を切ったアルに、クラナはやや不安そうに首を傾げた。

『ただ……?』
[いえ。
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