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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十三話 破壊の宿業  [壱]
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石の一言だろう。咄嗟に身を交わしたジークの身体を、熊の腕は掠めて通過する。しかしそれだけでも途方も無い破壊力を持っていたらしいその腕は、ジークの身体を軽々と吹き飛ばす。直後……

「アルッ!!!」
[Emergency.Set up]
怒鳴ったクラナの声に呼応するかのようにアルが輝き、セットアップが完了する。母熊が未だにジーク達を目線で追っているのを確認すると、即座に怒鳴った。

「四つ目!」
[Fourth gear unlock. Acceleration.]
ブシュゥッ!と音を立てて脚光の突起が一斉に四つ、左右にずれた。熊の巨体がジーク達を追おうとしたのか上体を降ろそうとした直後、クラナは熊の目の前に現れる。

この熊があの小熊の母熊なのかそうでないのかは分からないが、ただ少なくとも小熊に警戒した様子は無かった、ならばジークのいう母熊はこの熊だと言う事になる。だが……

「一拳撃滅!」
全力で振るった拳が彼女のむき出しの腹部に直撃すると同時に……

何れにしても、今は話の通じる状況でも相手でも無い!

[Impact!!]
拳から魔力が爆破するようにほとばしり、熊の身体が10センチ程地面から浮いた。が……

「(重い……!)」
一般的に、大人のヒグマの重さは食べ物にもよるが、300から、大きい固体で500sにまで達すると言われている。メスはこれより少し小さい筈なのだが、この熊は既に4m近い巨体だ。拳の感触からして、推定でも重さは700キロ近くあるだろう。それ程に手ごたえが重い。しかもこれが分厚い毛皮と脂肪に覆われている物だから……

「ガァアアアッ!!」
「フッ!」
拳の一発では殆どダメージが無い。
受けた拳を意にも介さないと言うかのごとく、彼女はクラナへののしかかりを敢行する。この巨体にのしかかられたらその時点で確実に詰む……と言うか即死もありうる。クラナは身体を即座に回転させると、右回りに後退しつつその範囲から抜け出す。

「だったら……!」
ズシンと地震のような揺れを起こしながら身体を降ろした彼女にクラナは再び身体がぶれる程の速度で踏み込む。そして……

「おぉっ……!」
「ガアアッ!!?」
その顔面の鼻っ面をぶん殴った。鼻は基本的に、多くの生き物にとって共通の急所の一つだ。案の定、殴られた瞬間彼女は大きく身体を逸らしクラナから身体をそむける。間違いなく効いている証拠だ。落ち着いて相手の攻撃をかわしつつ、効きそうな場所を狙っていけばやがて戦意を喪失する筈。
何とか戦意を殺いで逃げるしかない。そう思っていた。

──圧倒的なその威圧感が、背筋から身体を突きぬけるその時までは──

「ッ…………!!?」
殺気、いや、殺意。ただ相手を殲滅すると言う明確な“意思”が、自分のすぐ
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