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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十三話 破壊の宿業  [壱]
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にあるだろう。或いは4m近いかもしれない。
そのあまりの大きさに実感引きつつ、クラナは言う。

「す、凄いですね……」
「はは、やっぱりおおきいなぁ……?」
「?」
「いや、あの子、あんなに大きかったかなぁ思て……」
微妙そうな顔をするジークと共に見ていると、母熊と目があった。その瞬間……

「……ッ!?」
「グルル……グオォオオッ!!!!」
突然、母熊が咆哮した。
次の瞬間それはその巨体からは想像もつかないほどの加速力で突進しだすと、五m以上あった筈の距離をあっという間に詰めて、ジークとクラナ目がけてその太腕を振りかざしてくる。

「!?クラナくん!」
「うわっ!?」
一瞬反応の遅れたクラナに対して、ジークの反応は早かった。即座に振りかえってクラナの事を抱えると、押し倒すようにして伏せる。その頭上を、振り回された熊の腕が通過した。

「クラナくん離れて!」
「は、はいっ!」
其れを確認するや否や、ジークは起き上がりつつ熊から距離を取る。クラナもそれにならって倒れた姿勢から後ろ周りの要領で回転して起き上がると、バックステップで距離を取った。

「あの、これ、友達とはちょっと……!」
「う、ウチも分かれへん……!一昨日会うた時は何時もみたいにしてくれとったのに……!」
混乱した様子のジークを横目に、クラナは母熊を見る。通常の熊と比べても明らかに大きい。それに全体的に毛並みが逆立っていてかなり威圧的であり、瞳も朱くギラギラと輝いている。まるで凶暴性の高い魔法生物のようだ。

「(瞳が、朱い?)」
いやまて、通常生物であんな眼をした生き物がいるのか?まして熊に……
そんな風に思った瞬間、二本脚で立ち上がった熊が、再び大きく熊が咆哮した。

「グオオオォォオオオァッ!!」
「くっ……」
びりびりと威圧するように振動する空気に、クラナは思わず両腕で顔尾を覆う。と、母熊は突然腕を振りあげると、まるで地面を抉るように振るおうと構える。其処には誰もいないにも関わらず何処を狙っているのかと一瞬考えてしまったのは、“彼女”の狙っている物が本来あまりにもあり得ない物だったからだ。
しかし一度母熊の視線の先を見ればまぎれも無く、其処には彼女の愛する筈の我が子が、彼女を止めようとするかのようにその脚にすがりついていた。

「(まず……!)」
「ッ!アカンっ!!」
バンッ!と地を蹴る音と共に、隣にいた黒い影が飛び出す。其れは昨日見たどんな踏み込みの速度よりも素早く母熊の足元の小熊目がけて走り込むと、その小さな身体を抱えあげて母熊から離れようとする。しかし彼女が退避しきるよりも早く、母熊の腕が地面を抉った。

「あッ……!」
「ジークさん!!」
全てが咄嗟の出来事であるにも関わらず、直撃を受けなかったのは流
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