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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十三話 破壊の宿業  [壱]
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我とか、してないように見えますけど……」
「っ…………」
その真っ直ぐな瞳と視線を合わせた瞬間に、ジークの身体が金縛りを受けたように動かなくなる。数秒の間答えることも出来ないままでいた彼女は、不意に再び視線を伏せて答えた。

「う、うん……ウチは……平気や……ウチは……」
言いながら、ジークの声はドンドン減衰して行った。しかしクラナは安堵したように、小さく微笑む。

「良かった……」
「……!」
その顔を見た瞬間に、ジークは心から何かを恐れるような表情で方を振るわせると、フラフラと数歩後ずさり、顔を伏せて消え入りそうな声で言う。

「ヴィクター……ごめん、ウチ、もう無理や……」
「え、ち、ちょっとジーク!?」
「ホンマに、ごめんなさい……!」
「え…………」
「ジークっ!」
言うと同時に、ジークは扉を開けて走りさる。ヴィクトーリアが焦って引きとめようとしたが、それよりも早く彼女は走りだし、彼女は一度頭を下げると即座に後を追い掛けるように部屋を出て行く。突然の事になのはとクラナは一瞬あっけにとられたように硬直したが、即座にクラナが反応した。

「ッ!」
「っ!クラナ、ストップ!」
ベッドから飛び降り走り出そうとしたクラナをなのはが引きとめる。が、なのはに言われるまでも無く、走り出そうとしたクラナの身体がふらついた。

「……!」
「クラナっ!」
視界がぐらりと揺れて倒れかけた身体を、なのはが焦ったように、けれどある程度なれた動きで受け止める。

「だめだよ、さっき起きたばっかりなのにいきなりそんな激しい動きしたら。精密検査もまだなんだし……」
「う……」
支えられながら、クラナ何とか身体に力を入れる。幸い力が入らない訳ではない、ただ長時間意識が無かったにも関わらず急激に動こうとした反動だろう。

『まったく、行き成り動こうとするからよクラナ。もうちょっと寝てなさいな』
「ッ……!」
「わっ……」
突然、クラナがなのはを突き飛ばした。クラナ自身も、自分がどうしてそんな事をするのかは分からない。ただ気が付くと、クラナは少し強めに彼女を両手で遠ざけていた。

「……ぁ……」
「……クラ、ナ……」
はっと気が付いた時には既に、なのはがショックを受けたような瞳で自分を見ていた。
なのは自身、今になって拒絶されることに其処まで不意を突かれたりはしない、ただ、このような直接的な拒絶は、なまじこれまで接する機会自体が少なかった分初めてだったのだ。その事実が彼女を硬直させ、同時にクラナの中で動揺が膨張しかける。だが……

「そっか……どうしても、追いかけたいんだね?」
なのはは、あえて其処で、話を逸らさない事にした。

「え……」
一瞬、クラナは何を言われたのか理解できなくなる。だが、其れは
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