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リリなのinボクらの太陽サーガ
月詠編 暗雲
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リシア、フェイト……もうわかってると思うけど、いずれあなた達は自らの力で生きていかなくてはならなくなる。私も出来る限り病に負けないように生きるつもりだけど、流石に限界がある事ぐらいは理解している。だからそれまでの間に、母親としてあなた達に伝えられるものを全て伝えて見せるわ」

「ママ……何をするつもりなの?」

私達姉妹が懸念する中、母さんは未だに収まらない言い争いの場に、まるで散歩にでも行くかのような軽い足取りで向かっていき……。

「あんたら、いい加減にしなさい!! うだうだうだうだ……いい歳こいた大人のくせに、いつまでもみっともない姿見せてるんじゃないッッ!!!!!」

『は、はいぃ!!?』

管理局の偉い人達に鬼気迫る表情で一喝した。あまりの喧騒で言い争ってた両者が思わず気を付けをするほどで、瞬く間に口論の場の空気は母さんの威圧感に支配されていた。気のせいか母さんの背後に紫色の雷が見える……。

「本局と地上、お互いに譲れない一線があるのはわかるわ。だけどこの緊急事態を前にして理屈ばっかごねてる場合!? 相手は魔法の通じない化け物で、管理局としては面子に関わる問題かもしれない。高ランク魔導師の戦力を集中させて、これまでのように魔法で敵をねじ伏せることで、魔法の絶対性を保持したいのかもしれない。だけどこんな状況ではそんなプライドを守っていても何の価値もない。そもそもあなた達は無辜の市民の命を守るために管理局に入ったはずよ。それならこんな所で言い争ってないで、さっさと本来の役目を果たしなさい!!」

「わ、わかった……! そ、それなら本局から地上へ、魔導師を数人派遣してもらいたいと上層部に進言しよう。それで犠牲が減るのなら、渋る者もいるだろうが納得してくれるはずだ。……ど、どうだ……これで満足か?」

「ふ、ふん……最初からそうしていれば良かったのだ。贖罪中とはいえ犯罪者に言い包められたのは癪だが、部下や市民の人命には変えられん。……少しは感謝してやる」

母さんが説得したことで彼らの言い争いが収まって、やっと意識がまとまりつつあった。母さんが怒鳴った姿を見たのはジュエルシードの時以来だけど、この光景を見て私達はよく実感した。

母は強し、と。

「はぁ〜、結果オーライだけど何とかなったようね。どう? 私もやるときはやるでしょう?」

一仕事終えたドヤ顔で母さんが戻ってきた。地上と本局の垣根を一時的とはいえ取っ払える程の剣幕があまりに印象的で、私達の母さんは本当に凄いんだと改めて理解したよ。
リンディさん達は唖然としていたけどね。でもなのはは尊敬の眼差しで母さんを見るようになって、はやては「あれがオカンの力か……」としみじみ納得していた。

「近いうちに、私のママ最強伝説が打ち立てられるかも」


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