月詠編 暗雲
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試されているに違いない。
「第5から第12部隊までは沿岸部、第32から第48部隊は都市部の防衛。第64から第99部隊は犯罪者の警戒、第108部隊及び残りの部隊は市民の避難に尽力せよ」
『了解!』
一方で武人肌の男の人が的確に指示を下し、行動を起こしている地上の局員達もいた。彼らからはどこかお兄ちゃんと似た雰囲気を感じるが、もしかしたらお兄ちゃんと会ったことがあるのかもしれない。忙しそうだから話す暇はなさそうだけど。
「レティから現状について話を聞いてきたけど……本局と地上の垣根は私達が思う以上に厄介なようね。次元世界全体の治安維持のために、地上から優秀な人間を集めていたつもりだったけど、それが地上を守ってきた人達にとっては腹の立つ行いだったみたい」
「やり過ぎちゃった、という事なんですね。リンディさん、これって解決法があるんですか?」
「多分、なのはさんが思うような明確な答えはないと思うわ。これはどっちが間違っていて、どっちが正しいという話じゃないから……」
リンディさんに答えがないと言われても、なのはは納得がいかないらしく、皆が納得できる良い方法が何かないかと思案していた。でも……きっと私達が一生懸命考えても答えは出ないと思う。なにせ私達より長く生きている人達がずっと悩んできたのに、結局変えられていないのだから。
さて……現在、本局を中心に防衛陣を組んでいたら次元空間全体に及ぶファーヴニルの吸収の影響を受けてしまうため、第1管理世界ミッドチルダを中心にして再展開している。そのため本局所属の次元航行艦の大多数もミッドに集結しており、アースラもこの中に駐留、部隊の編成を待っていた。大量の戦艦が横並びになって浮かんでいるのは壮観でもあったけど、本局は本局、地上は地上とでしか向きを合わせていないから、真に轡を並べている訳ではなかった。
「……こんなんで、本当に平和を取り戻せるの? 管理局って、世界中の危機が訪れたら何の役にも立たないの? 人間って……本当に大事なものをちゃんと理解しているの?」
「姐さん……」
「アリシア……あなたはまだ色んな事を知らないわ。本当ならまだ学校に入れるかどうかという年齢だったから、人生経験がほとんど無くて当然なのよ。太陽の使者の代弁者となった以上、あなたの決定は太陽意思の決定とも言い換えれる。だからこそ、あなたは純粋な気持ちで私達人類を見定めてほしい」
「ママ……?」
「人は基本的に愚かな生き物よ。それはかつて死者蘇生を試みた私自身や、SEEDの件で暴走した管理局上層部が証明しているわ。だけど……世界にはそういう人ばかりじゃない事も、あなた達はよく知っているでしょう? そう、彼に救われた私達は、それを心から理解している……」
「母さん……」
「ア
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