第四十一話 勝負が続いてその十二
[8]前話 [2]次話
「圧倒的だから」
「それで急に出て来る人もいて」
「今日菜子先輩が闘ってる娘みたいにね」
「確かに強いね」
何か違っていた、これまでの相手とは。丁渡今日菜子さんと闘っているけれど。技のスピードやキレだけじゃなくて。
「これまでの人と比べて」
「ええ、相当にね」
「勝てるかな、日菜子さん」
僕はこれまでの試合よりもこのことが心配になった。
「果たして」
「勝たないとね」
「駄目だよね」
「優勝したいのなら」
「今の相手にも勝たないといけない」
「そうよ、まさにね」
「やっぱりそうだよね」
僕も聞いていてそれは当然だと思った、優勝したいのならだ。
「あの娘にも勝たないといけない」
「絶対にね」
「かなり強いけれど」
「多分ね」
「多分って?」
「あの娘天才よ」
その一年生の娘はというのだ。
「それがいい人に出会えてね」
「才能が開花したんだ」
「空手のね」
「そうなんだ」
「よく言うけれど天才は何か」
「ええと、九十九パーセントの努力に一パーセントの才能」
「その九十九パーセントの努力をさせてくれている人なのよ」
その先生はというのだ。
「それが凄いわ」
「九十九パーセントね」
「まさにね」
「努力すれば強くなる」
「それだけね。基礎からやっていって」
「基礎をしないとね」
本当にだ、それこそランニングやサーキットトレーニングといった地道な練習からだ。していかないととてもだ。
「駄目だしね」
「柔軟もね」
「そうだね、空手は特にね」
「身体が柔らかくないと」
それこそだ。
「駄目よ」
「怪我するしね」
「動きも鈍くなるから」
それこそだ。
「よくないのよ」
「どのスポーツでもそうだけれど」
「空手もそうなの、股割り位出来ないと」
「あれは普通は」
「それでも出来ないと」
それこそというのだ。
「怪我するから」
「怪我が怖いから」
「それ位は出来ないと、ああそういうことね」
ここで急にだ、池田さんの口調が変わった。
そしてだ、僕にこう言って来た。
「あの娘どうして強いかわかったわ」
「天才だっていう理由?」
「そう、あの娘身体が柔らかいのよ」
「身体が柔らかいから」
「動きがいいのよ」
「それで強いんだね」
「関節や腰、背中の動きが違うわ」
柔らかい分だけ、というのだ。
「首のところもね」
「身体が柔らかいから」
「その分いいのよ」
強いというのだ。
「そうなのよ」
「身体の動きが柔らかいだけに」
「強いのよ、いい柔軟体操しているのね」
「ストレッチだね」
「大家君もストレッチしてるわよね」
「うん」
勿論だとだ、僕も答えた。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ