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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-32
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誰が見ているのか人ごみで分からない。その代わりに、一夏と箒が二人並んで歩いているのがちらっと見えた。こっちに歩いてきているのを確認すると束の隣まで歩いて手を取る。
「ふえっ?」
「あの二人が来てる。移動しよう」
「う、うん」
人ごみの中をはぐれないように手を繋ぎながら歩く。あいつらはゆっくり歩いているようですぐに距離は離れた。
その姿を見ていたのは、五反田蘭とその友達でもある彼女たちが通う生徒会のメンバーたちだった。
五反田蘭は、一夏の親友である五反田弾の妹でかなり優秀なのだが、猫をかぶっているといったような人だった。
「か、会長。あの二人すごくないですか?」
「え、どれ? ……わっ、本当だ」
彼女たちはあのすれ違った二人の容姿も然ることながら、纏う雰囲気に不思議なものを感じていた。
立ち止まってあの一組の男女が去っていった方を見ていたら、蘭は一夏と出会う。勿論、隣には箒もいたが、一夏と出会えたことに舞い上がっている蘭の目には入っていない。
と、ようやく落ち着いた蘭は、一夏の隣にいる箒を見て首を傾げた。
「む、なんだ。私の顔に何かついているのか?」
「い、いや、そうじゃないんですけど……さっきすれ違った女の人に雰囲気似てるなって思って」
「何、それはどんな人だったのだ?」
「顔は見たわけじゃないんですけど、髪が薄紫色っていうんですか? そんな感じの色の長い髪の人で腰に白い大きなリボンをつけてて、隣に一夏さんよりも背の高いカッコいい男の人がいました」
「そ、そうなのか……」
箒と一夏は顔を見合わせた。男の方は分からないが、女の方には何か覚えのあるような気がしてならないのだ。しかも、身内で。もしも、二人が思っている人であれば、必然的に隣にいる男は決まってくる。
箒は、夏祭りの明るい雰囲気とは逆に少し気持ちが落ち込んだ。
――――願うことなら、絶対にその二人と合わせないでくれ、神様。
そう心の中で祈った。
それから幾分か時間が過ぎて、この夏祭り最大の目玉である花火がそろそろ上がろうとしていた。
一夏と箒は先に弾に捕まって帰ってしまった蘭を送ってから、二人の穴場である山にある高台へと登っていた。町が一望できる高台。眺めがいいのだが、少し登ることと、元々人気がない所ということも相まって全く人が来ない穴場のようなものになっていた。
そんな最高のシチュエーションの中でひそかに一人の乙女が決意している頃、束と蓮の二人は、山の高台から離れた山の中、木がなくちょっとした広場になっているところを見つけて、レジャーシートを出して敷いた上に並んで座っていた。山の斜面にあるこの場所もやはり穴場というもので、街の光は木々に隠れて見え隠れしているが
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