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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-32
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所にもなっているのだろう。
山の麓近くまで来ると駐車場を見つけ、そこにバイクを止める。バイクから降りて束からヘルメット受け取ると自分もヘルメットを脱いでバイクのハンドルにかける。キーを抜いて蓮が束の方を見ると彼女はすでにつばの広い麦わら帽子をかぶっていた。
束は篠ノ之神社のある山を見て、まだ気持ちの整理がついていないのが瞳が不安に揺れていた。わなわなと震える唇に開いたり閉じたりする手が今の彼女の心情を素直に表していた。
「ほら、行くぞ」
「あっ……」
この暑い日差しが容赦なく降り注ぐ中を蓮は束の手を取って神社へと向かっていく。
蓮に引っ張られるように後ろをついていく束。その視線は彼に握られている手に向いていた。自分と同じくらいに白い手。それでいて自分よりも一回り以上は大きい手に握られて、彼女の心は高鳴っていた。
いつもなら自分からはこんなことをしない蓮が、今日は自分からやってくれたことが束にとっては嬉しかった。自分を気遣ってくれることが嬉しい。
今だけはこのうっとおしい暑さも忘れられた。
時折僅かに吹く風が周りの木々の葉を揺らしてかさかさと音を立てる。それをかき消すようにセミの鳴き声が辺りに木霊しながら響く。神社へ続く参道は階段になっていて、辺りの木々が覆うように枝葉を広げて、日陰になっていた。
蓮は視線を上に向けると、階段の切れた先が白く見える。そこには建物が見え隠れしていた。
階段をほとんど上って神社が視界に入ってくると、束に力が入るのを繋いでいる手越しに感じられた。
ちらっと束を見てみれば、初めて会った人が分かるほど緊張しているのが分かる。
「束」
「……っ! ……何?」
蓮が声をかけると明らかにびくっとしてどこか怯えたような表情を見せて、捨てられた子犬のような瞳を蓮に向ける。その際に上の段にいる蓮を見上げようとしてずり落ちそうになった麦わら帽子を手で抑える。
蓮は束と同じ段まで降りるとなんの合図も躊躇いもなく、束を抱きしめた。
「……えっ? にゃっ、にゃにをっ! いきな――――」
「大丈夫だから。もし行った先に親戚や家族や両親がいて、束のことを否定しても、俺だけは束の味方であり続けるから。だから、大丈夫」
「…………ありがと。ちょっと、元気出た」
驚く束の声を途中で遮って、蓮は自分が心の中で思っていることをありのままに口にした。抱きしめた時にくしゃっとなってしまった麦わら帽子を気にすることなく、抱きしめた。
束は確実に自分の顔が赤くなっていることを自覚しながら、押し当てられた彼の胸から早い鼓動が聞こえて、自分の不安定だった心が落ち着くのを実感していた。でも、名残惜しいけど麦わら帽子をぐしゃぐしゃにしたくないから
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