九校戦編〈下〉
九校戦九日目(7)×無頭竜幹部&ジェネレーター捕獲からのガサ入れ
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「・・・・何者だ?」
問い掛ける声が訪問のような口調ではないのは、先程目の当たりにした人体消失によって心に恐怖心が芽生えたのだった。
『先程貴様らが言っていた織斑一真という餓鬼だが、随分と世話になったのでその返礼に来た。有難く思え』
声は大人だったが、口調がまるでこれから消し去りますよ的な殺気が籠った口調だった。セリフと共に幹部を守っていた領域干渉フィールドを無効化で無力化した。電話に出ている男だけではなく、意志を持たぬジェネレーター以外の全員が反射的に部屋の片隅を見た。
視線の先で薄い炎が燃え上がって消失した事で、続いて熱源があったのかスプリンクラーが反応して高圧の霧が天井から吹き付けられた。先程までいたジェネレーターは消失したが、裏では幸典らがいる所まで転移されてから機能停止まで追い込む事で完全停止した。
「どこだっ?十四号、どこからだっ?」
幹部の一人がひっくり返った声で叫んだが、魔法師であれば事象改変の反動で何に対してどこから魔法が使われたのかを知覚する事が出来る。人体を消失してしまうような強力魔法がこれ程の至近距離で作用したならば、それがどこから放たれた魔法なのか本来ならば分からないはずはない。正確な距離は掴めなくとも、少なくともどちらの方向に術者がいる程度の事が分かるはずなのに対して、この幹部はただ喚く事しか出来なかった。
動揺を知らないジェネレーターは、同類が壊されても怯えてパニックにもならない。十四号はのっそりとした動作で、壁に穴を開いた穴を指差す。その穴の向こうというのは、この街では一番高い場所である横浜ベイヒルズタワー。別の幹部が慌てて狙撃銃を手に取り、光学・デジタル複合スコープに目を当てて倍率を上げて行く。ベイヒルズ屋上にて、西に傾いた上弦の月光に半身を浮かび上がらせた一人の男が立っていた。
倍率を更に上がると、バイカーズ・シェードに隠された人相は分からなかったが先程名乗ったので、無頭竜の策を潰していった餓鬼だと分かると狙撃しようとした時だった。こちらの引き金の方が早かったのか、弾け散ったスコープの部品で眼球を傷付けられた。片目を押さえて呻き声を漏らす同僚を気に掛ける余裕はなかった。
「十四号、十六号、やれ!」
ジェネレーターに反撃を命じる声は一人のものではなかったが、返ってきた返事は否定だった。
「不可能デス」
「届キマセン」
機械は出来る事しかやらないのか、そう否定した。どんな状況でも安定的に魔法を行使する事を目的とした改造ジェネレーターには、死に物狂いで限界以上の力を振り絞るという機能は無いに等しい。
「口答えするな!やれ!」
抑揚が全く無い声で口々に応えた十四号と十六号に対して、目を押さえながら膝をついた癇癪を破裂させる幹部。だがその答えは
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