九校戦編〈下〉
九校戦九日目(7)×無頭竜幹部&ジェネレーター捕獲からのガサ入れ
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迎えるかのように扉が開いた。内部監視装置も響子のハッキングによって、俺と響子だけのみ無力化されていた。
横浜グランドホテルというのは、今世紀前半に香港資本によって中華街に建てられた高層ホテルだ。ニューグラウンドホテルの前身である同じ名前のホテルとは何の関係も無いが、最上階の一つ上の階にいる者達は客には知られてないブロックとされている。
存在しないはずの本当の最上階一室では、慌ただしく引っ越しの準備が進められていた。この部屋は、香港系国際犯罪シンジケートである『無頭竜東日本総支部』がいわば東日本における活動指令室として使われた部屋だった。そしてその付近に到着した幸典らは、色々と準備をしていた。
「横浜グランドホテルの経営をしている香港資本自体が、随分前から無頭竜に乗っ取られたと聞いていたがまさかあそこに国際警察で指名手配していた者までいるとはな」
「そのようだな海斗。犯罪活動の指令室となっていて、今は引っ越し作業をしているそうだぞ。引っ越し家具がある訳ではないが、主な荷物はコンピューターシステムに記録されていない極秘帳簿の類だろう。織斑少将が全ての幹部らをここまで転移させてから、ガサ入れをするからとても楽しみではある」
「厳重なセキュリティが施されたシステムに登載出来ない程秘密性が高い帳簿だからか、部下に荷造りを任せる訳ではないでしょうね。高級ブランドスーツを身に纏った壮年か初老の男達が、シルクのハンカチで汗を拭いているそうよ。よっぽど慌てている様子のようね」
「金銀宝石で煌びやかな指輪をはめた手で不器用に荷造りする姿は、余りにも似合わないよね〜」
もちろんそれも没収するので、とても楽しみにしているしここに転移される時に魔法陣で動かなくしてから、電撃か薬で気絶か眠ってもらうつもりの様子である。なので軍医少佐である幸典は、すぐに刺せるように注射針をいつでも使えるように手元に置いてあった。それと当人達は笑いごとでは済まされない。
「おのれ・・・・このままでは済まさんぞ」
一人が手を止め、歯軋りが聞こえてきそうな声で呪詛を漏らした。
「それにしても、ジェネレーターが戦果ゼロで取り押さえられるとはな・・・・」
「想定外だ。まさか日本軍の特殊部隊がしゃしゃり出て来るとはな」
「お陰様で我々は夜逃げの真似事だ」
「一度勝利したくらいで増長しおって・・・・」
この場の誰もが心に秘めていた本音が表に出た事で、焦燥感に堰き止められていた愚痴の歯止めが利かなくなっていた。
「日本軍に対する報復はいずれ必ず果たすとして、それ以上に優先すべきはあの餓鬼の始末だろう」
「我々の計画をことごとく覆した生意気な子供か」
「織斑一真と言ったか?どんな素性の餓鬼だ?」
「それが・・・・詳
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