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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第37話 初めての……
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…  私が……初めて……》



 ジャックは……もう見ていられなかった。泣き続ける燦を見て、心の中で泣き叫んでいる彼女を見て。だから……、思わず。その小さな身体を ぎゅっ と抱きしめた。

『……よく 今まで本当に頑張ったな……。もう大丈夫だから…。もう、君は1人じゃない』

 抱きしめ、背中を何度も摩る。

「う…あ……ああッ………うあああああああああ…………」

 燦は、堪えきれなくなり、声を出しながら泣き続けた。それは、今までずっと溜まっていたようだったからか。 決して流れ出る涙が枯れることは無かった。

















『……落ち着いた、かい?』

 ジャックは…暫く抱きしめていたが… 震えが止まりつつあった為、抱きしめた体を離して、顔を見た。まだ…僅かだが涙は出ていて、顔を赤らめてはいるが。

<ご、ごめんなさい。取り乱したりしちゃって……>

 そう筆談。声はやっぱり出す事はまだ出来ない様だ。恥ずかしい、と言う事もあるのだろうか。 

『ははは。いいさ。そう言うときだって必要だと思うよ。』

 ジャックは笑いながらそう言う。

<は…はい!>

 その次にはもう燦は、笑顔になっていた。目元を拭い完全に涙は出ていなくなっていた。

<あ…あの、私は 音無 燦っていいます。あなたは…?>

 燦の言葉を見て、改めてジャックは思う。そういえば、自己紹介してなかった、と言う事を。

『……ああ、そうだった。ごめんごめん、言ってなかったね。オレは、ジャック。ジャック・ブロウだよ。宜しく』

<ジャック……さん。ですね。よろしくお願いします!>

 燦は笑顔でそう見せてくれた。

『こちらこそ。じゃあ 早速旅館に戻ろうか。今日は疲れただろう? っていっても時間的には昨日だけど』
 
 そう苦笑いしながら、手を差し出した。

「あ…………」

 燦は一瞬声を上げたが、その後その手をただ…じっと見つめた。

『……ん? ああ…そっか。いきなり繋ぐのは抵抗があるかな?』

 ちょっと無神経だったかな?とジャックは思いながら苦笑した。幾ら子供、とは言え女の子なのだから。

「ッ!!」


 ふるふるふる! と首を必死に左右に振って否定する。


<そんなことありません! 唯…誰かと手を繋いで歩くのって初めてで………>


 メモ帳を見せるその顔は、やはりどことなく寂しそうだ。

(…そんな顔もう見たくないな)

 先ほどの笑顔を思えば、寂しそうな顔はあまりみたくないし、させたくないと思うジャック。だから、笑顔で。

『そっか、じゃあこんな俺で良ければよろしく』

 そう言って再び
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