暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第1章 光をもとめて
第2話 鬼畜戦士と童顔戦士
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分け前とは別! 判ってるな?」
「……念押ししなくて良いって。大丈夫だ。これくらい何でもない」

 ジョッキを片手にランスは更に念を押した。 
 その言葉にやれやれとため息を吐くユーリ。本当にため息を付く事が多い。このやり取りを見ていたら、確かに彼が相応の歳だと言う事は見て取れるが、如何せんアンバランスである。

 ……何がか?とは言わないが。

「むぅ……、酒自体はまぁまぁだが、料理がいただけん。マズイ。何だ?これは!!これがへんでろぱなどオレ様は認めん!」
「酒場ってのは大体こんなもんだろう? それに、酒が入れば皆味なんて気にしないって。あ、シィルちゃんも、遠慮は要らないよ。沢山食べて良いから」
「あ、ど、どうもすみません。いただきます」

 ランスは、料理を批評しユーリは妥当だという。
 シィルはやはり、まだギャップに呆気にとられている様だ。酒場事情に詳しく、出てきた酒も普通に呑んでいて、赤くなってはいない。厳密には若干紅潮しているが、酔っている様にも見えない。

(……でも、何だか不思議です)

 シィルは、ランスとユーリの2人を見てみる。
 
 まだ続くのは、悪態をついているランスと軽く回避するユーリ。似てない性格なのに……、何処かが似ている気がするんだ。

 そして、何処か≪同じ≫様な気もする。

「むぅ……ああ、マズイ。シィルに作らせるか?」
「へぇ……。 シィルちゃんが作るへんでろぱは美味いのか? それは興味があるな」
「何ィ? あれは全部俺のものだ! やらんぞ?」
「……言うと思った。ただ 興味がある、と言っただけだ。奪う真似はしないって」

 やれやれとしているユーリと、美味い具合に幌酔っているランス。 

(やっぱり、お2人は仲が……。ああっ!! 御酒……薄めてもらうのっ!)

 シィルは考え事をしていたせい+この酒場に来るのが初めてだった事のせいで、忘れていたのだ。

 ランスは、酒には非情に弱い。

 そもそも、好きと言うわけではなく、雰囲気と格好付けで飲んでいる癖もあり、味なんて解らない。なのに、あのピッチでこれ程の度数の酒なんか呑んだら……。

「だ〜〜〜っはっはっはっは!!」

 突然、笑い声が一段階増した。ケタケタと笑い出し、脚をバタつかせる。

「……?」

 さっきまで悪態ついていたランスの突然の大爆笑に不自然に思ったユーリ。その顔も尋常じゃない程赤い。まるでペンキか何かを赤く顔を塗った様だ。

「大丈夫か?」

 だから、ランスにそう言うけれど、ランスは何も聞いていない様子だ。 

「オレ様は英雄だァァ! どんどん酒、もってこ〜〜いっ!! だ〜〜はっはっは!!」
「……。大体判ったが、随分早くないか? 潰れるの」


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