二十一話:ホテルと日常
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リヒターは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の雷帝を除かなければならぬと決意した。
リヒターには親心がわからぬ。リヒターは、街の学生である。
飯を作り、友をいじって暮して来た。けれどもボケに対しては、人一倍に敏感であった。
先程リヒターは会場を出発し、道を歩き階段を昇り、一里はなれたこのミッドチルダの高級ホテルにやって来た。
リヒターには金も、力も無い。彼女も無い。十六の、内気な乞食と半ば二人暮しだ。
リヒターには気の置けない悪友があった。ミカヤである。
今は此のホテルで、子供達のお守をしている。その悪友を、これから殴りに行くのだ。
いつかのように嵌められたのだから、お礼参りをするのが楽しみである。
歩いているうちにリヒターは、ホテルの様子を怪しく思った。ひっそりしている。
もう既に日も落ちて、部屋の暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、部屋全体が、やけに寂しい。
のんきなリヒターも、だんだん不安になって来た。
しばらく歩いてホテルマンに逢い、語勢を強くして質問した。
ホテルマンは答えなかった。リヒターは両手でホテルマンのからだをゆすぶって質問を重ねた。
ホテルマンは、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。
「階が違います」
リヒターは韋駄天のごとく走った。
「これが、俺がここに至るまでの物語だ。凄いだろうミウラちゃん」
「それって、ただ単に迷子になっただけなんじゃ……」
「おっと、それ以上は世界の修正力が働く」
ミウラちゃんと話をしながら料理を口に運ぶ。俺は天パからさらさらストレートに復活した後、ハリーから今回の黒幕がミカヤであると聞いてすぐさま追っていった結果、何故か入れ違いになって迷子になったのだった。
ヴィクター? 怖いから後回しだ。
とにかくその後は話し方がジークと似ている八神はやてさんに無事救出されて今に至る。
全体的におかんオーラが出ているので結婚したら夫を尻に引きそうなタイプだ。
「なんや、そんな見つめられたらお姉さん照れてまうやろ」
「すいません。おっぱい見ていました」
「ん、私のおっぱい揉んでみたいん? ふっふっふ、揉んでみるかいな」
「ボケにボケで返して来るとは……こいつ、デキる!」
自分の胸を手で押し上げて何やら腹黒い笑みを浮かべるはやてさん。
この手の人は本当に触ったら通報するようなタイプだ。
まあ、そんなことしたら即、現行犯で捕まえられるような人だけど。
「ミカやんから聞いとったけどセクハラ発言はようするけど本気で触ることはないんやな」
「紳士ですから」
「そんな決め顔で言われても紳士カッコ変態カッコ閉じるにしか見えへん
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