三十六話 飲食店(レストラン)
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広翔は学級委員の女の子に声を掛けられていた。
『一緒にティーしに行こう!』
と張り切った声で女の子はこぶしを突き出した。彼女の表情は明白だった。嬉しそうな表情。
「ティーって・・・どこへ?」
広翔は当たり前のように女の子に疑問を持っていた。フレンドリーすぎる。
『そこらへんのレストランだよ。話したいことがあるの』
とさっさと広翔の手を引っ張った。彼女の手はなんだかあたたかくて柔らかかった。
いろいろと疑問があったが彼女のテンションに思うがままに引っ張られ、レストランに行くことにした。
・・・
すぐに商店街に出ると、3分経たないうちにレストランを見つけた。
サヒゼリア。どこにでもありそうなチェーン店だ。
いすに座ると彼女は早速食べ物を頼み始めた。
広翔はずっと彼女の表情を監察していた。転校生の俺にそんなに話すことがあるのか。それともフレンドリーすぎるだけなのか。
メニューを注文し終わると、彼女は腕を組んで机に肘をついた。そしてふぅ、と息を吐いた。
『私は桐生海波っていうの。いろいろよろしくね。』
さっきよりはしっかりとした表情になって、普通の話し方になった。
「よろしく。」
広翔は単純にそううなずいていった。
レストランの中、静かな空気に包まれていた。勉強するにはもってこいの場所だろう。
『いろいろ相談があるんだけど聞いてくれないかな。』
「まあ、ある程度なら。」
と言いながら、ドリンクバーを取りに行くのを忘れたことに気付いたが、意外と真剣身のある話そうなのでやめておいた。
『たぶん広翔クンにはわからないと思うけどね、この学校にもいじめとか差別があるわけよ。』
『でね、やっぱり能力を悪用したり、能力のことで人を見下したりしてんのよ。』
広翔はコクリと一回うなづいた。彼女の話し方は、学級委員らしく、大人らしかった。
広翔も肘を机につけてホウズエをつくポーズになった。下を向いて真剣に話を聞く。
『簡単に言うけれど、能力を持っている広翔クンに風紀委員をやってほしいの。』
すこし長い話をしてくれた。言うけれどーなんて変な言い方だ。
「・・・・・・ふぅ」
『どう?わたしもいろいろサポートするから。』
学校早々、こんな重大な任務を頼まれるとは思いもしなかった。どうやら風紀委員はいじめなどを取り締まる委員会らしいが、そう簡単に能力だけで収まる感じではないだろう。
正直務まらないと思った。そんなめんどくさいことはごめんだった。でも、彼女の真剣な話と表情には断りがつかない、たくさんのことを考えているようだった。
「・・・なんで僕が能力を持っていることがわかった?」
ストレートに言わずに話をそらす
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