第二百四十九話
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第二百四十九話 天使と悪魔
天使も悪魔も双方だ、睨み合いながらだった。
対峙してだ、こう言い合っていた。
「この教会は私のものとする」
「何を言う、私のものになる」
「教会は神のものぞ」
「そんなこと誰が決めたのだ」
「神が決められたに決まっている」
「神が何だというのだ」
こう言い合っている、神父さんも使い魔達もそんな天使と悪魔を見て困った顔になっていたりおろおろしていたりしている。
しかしだ、先生達は至った呑気にだ。
今もお茶を飲んでだ、こんなことを話していた。
「じゃあこのお茶を飲んだらね」
「それからよね」
「お話を聞きましょう」
「詳しくね」
「あの、そんなのどかでいいんですか?」
「まさに一触即発なんですけれど」
使い魔達は先生達にその困った顔で言う。
「そんなのどかでいいんですか?」
「殺気さえ漂ってるんですが」
「こんな状況でお茶なんか飲んでいて」
「お菓子も食べてますけれど」
「だってお茶の時間だから」
「お茶を飲むものだから」
それでというのだ。
「まだね」
「この一杯だけはね」
「あの、お茶の時間でもです」
「本当にまずい状況なんですけれど」
「ハルマゲドンとはいかないまでも」
「相当に危険ですよ」
使い魔達だけでなくだ、神父さんもだ。
二人にだ、不安で仕方ないといった顔で言った。
「あの、本当に大丈夫ですか?」
「ご心配なく」
「これ位のお話でしたら普通に収まります」
「ですから神父さんも皆もです」
「落ち着いて」
「落ち着いていていいんですか?」
神父さんは平常心を保つのも仕事のうちだ、さもないと人の相談に乗ることが難しいからだ。だがそれでもだ。
先生達は落ち着いていてだ、そのうえ。
天使も悪魔も言い合い続けている、そして。
「話してもな」
「そもそも無駄だ」
「こうなればだ」
「腕づくだ」
「望むところ」
「それならな」
こうそれぞれ言ってだ、いよいよだった。
対決がはじまろうとしていた、しかしここで。
先生達はお菓子を食べ終えたのであるものを出して来た、そのあるものを見て天使も悪魔もその目を止まらせたのだった。
第二百四十九話 完
2015・6・27
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