第七幕その六
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「あの人達本当にね」
「学問とか報道とか言って何でもしますから」
「ここでもだね」
「気ままに入って何をするかわからないですね」
「狼君達に何かあったら」
「あってからじゃ遅いですし」
「このことはじっくり考えようかな、とにかくね」
あらためて言う先生でした。
「狼君達のお話をもっと聞こう」
「僕達自身のことをだね」
「うん、是非ね」
狼さんにも答えます。
「お話してくれるかな」
「どんどんね、まだお話したいこともあるし」
それこそというのです。
「それじゃあね」
「うん、君からも聞いて」
そしてというのです。
「後はね」
「後は?」
「狼君の群れも見てね」
「皆からもお話を聞きたいんだ」
「そうしていいかな」
「勿論だよ」
一も二もなくです、狼さんは先生に答えました。
「皆にも先生のことをお話させてもらうよ」
「それじゃあね」
「まずは僕からね。それとだけれど」
「それと?」
「先生そのお茶好きみたいだね」
先生が飲んでいる紅茶を見てです、狼さんは言いました。それだけではなくそのお茶をとても美味そうに飲んでいる先生ご自身もです。
「その赤いお茶を」
「紅茶だよ」
「紅茶が好きなんだ、先生は」
「大好きだよ」
実際にとです、先生は笑顔で答えました。
「毎日いつも飲んでいるよ」
「そこまで好きなんだね」
「そうだよ、ただね」
「ただ?」
「レモンは入れないね」
先生はこのことは笑って答えました。
「僕はこうしたストレートかミルクを入れて飲むよ」
「ああ、そうなんだ」
「僕の好みではそうなんだ」
「成程ね」
「そうだよ、けれど君お茶を知っているんだ」
「噂で聞いたんだ、色のあるお水をそう言うってね」
動物の皆の噂で、です。
「それがそのお茶で」
「紅茶というんだ」
「成程ね」
「それじゃあね」
こうしたことをお話してでした、先生は狼さんからじっくりとお話を聞きました。そうして狼さんのお話を一通り聞いてからです。
狼さんは先生にです、こう切り出しました。
「じゃあ今からね」
「うん、狼君の群れにだね」
「案内させてもらうよ」
「宜しく頼むよ」
「それじゃあね、ただその前に」
「どうしたのかな」
「先生僕のこと全然怖いと思わないね」
ふとです、狼は先生にこのことを自分から尋ねたのでした。
「そうなんだね」
「まあそのことはね」
「先生狼を怖がらないんだ」
「だって君達は人を襲わないね」
「うん、狼はね」
「相当餓えていないとね、君達は犬と同じだよ」
それこそというのです。
「ジップとね」
「そうそう、先生は動物学の専門でもあるからね」
その犬のジップも笑顔で応えます。
「狼のことにも詳しいん
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