A's編
第三十三話 後(2)
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のはたった一点のみだ。
僕たちの眼前で着々と進められている儀式。ミッドチルダ式とは異なり、三角形を標準的な魔法陣とする古代ベルカ式に則った魔法陣である。三角形の頂点にあたる位置にいるのは、なのはちゃん、アリシアちゃん、そして、クロノさんだ。
この儀式は一人では行えないため、今朝の内にアリシアちゃんからも了解を得ていた。記憶を取り戻したアリシアちゃんであれば十分らしい。
彼らはわき役に過ぎない。本当の主役はその魔法陣の中心に、目の前で夜天の書を展開し、儀式の光に包まれるリィンフォースである。まるで、日光浴を浴びるように目を瞑りながら、その時を待っているようにも思える。
「リィンフォースっ!」
その様子に魔法のことがほとんどわからないはやてちゃんも強い違和感を感じていたのだろう。リィンフォースさんの名前を叫び、届くはずがないのに彼女に向けて手を伸ばす。その悲痛な叫びに胸が引っかかれたように痛むが、それを見ないようにして、僕はゆっくりと儀式が行われている丘へと着地した。
背中では、はやてちゃんが早く地面におりたいともがいていた。気持ちはわかるが、歩けないはやてちゃんを放置することはできない。
僕はあらかじめクロノさんに用意を頼んでおいた車椅子にはやてちゃんをゆっくりと背中から乗るように仕向けると、はやてちゃんは手慣れたように背中から車椅子へと移動し、くるっ、と向きを変えると僕を迂回するように車椅子を動かした。
僕は振り返り、はやてちゃんの背中を見るような形となり、リィンフォースさんと目が合う。彼女との会話は昨日の夜のうちに終わっている。僕らは合図するようにお互いに小さくうなずいた。ここからは、僕の出番はない。ただの傍観者であるだけである。
「あかんっ! リィンフォース、やめるんやっ!」
車椅子の車輪を手慣れたように回し、歩くよりも速いスピードでリィンフォースさんの儀式が行われている魔法陣に近づくはやてちゃん。その叫びは悲痛としか言いようがない、悲しみにあふれた叫びだった。
その声を聞いてクロノさんが苦しそうな顔をして俯く。ただ、儀式は止めないようにデバイスを構え続けたところは、自らの職務による責務だろうか。
そして、もう一人、こうなることがわかっていたであろうリィンフォースさんは困ったような、嬉しそうな、そんな曖昧な表情を浮かべていた。
「ショウ君から聞いたで! 破壊されるつもりやってな。そんなことせんでええ!」
思いのたけを、リィンフォースさんに届くようにと半ば涙声になりながらもはやてちゃんは叫んでいた。その声が、僕にとっては痛々しい。耳をふさいでいいのであれば、僕はすでに耳をふさいでいただろう。小さな少女の心からの願いの叫びを、叶うはずがないと知りながら聞
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