A's編
第三十三話 後(1)
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遺言を―――」
僕はその先を口にしたくなかった。せっかく助かったのだ。その直後にこんなことは聞きたくなかった。だが、だが、それでも、彼女が決めたことで、どうしようもないというのであれば、せめて。
「もしも、心残りがあって、僕に託せる願いがあるなら……教えてくれませんか」
それが彼女の遺言となるだろう。そして、僕はそれを守りたいと思う。この悲しい魔導書最後の願いを。
最初、リィンフォースさんは僕が何を言ったのか理解できなかったのだろう。だが、すぐに僕の言葉の意味を理解すると、ふっ、と吹き出して笑った。
あ、あれ? 何か変なことを言ったかな? と思い、不安になったのだが、すぐに真顔になるとリィンフォースさんはまっすぐ僕を見て、彼女の最後の願いを告げてくれた。
「愚問だな、少年。救われた私の最後の願いなど一つしかないだろう」
そういって微笑むと、彼女は最後に残った心残りともいえる言葉を教えてくれた。それは、ある意味、彼女らしくて、とても納得できるものだった。
つづく
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