第5話 世界の胎動
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他人の心ない中小の声がない分、本当にここに来れて良かったと思う。
「もう、ここに来なかった時の事なんて、考えられないな……」
美味しい食事に色んな読み物を読めるし、彼が手解きしてくれる訓練は厳しくて弱音を吐きそうになる事もあるけれど、それは私がつまらないミスで死んでしまわない様にという彼なりの心遣いの表れなのは毎日の様子を見ていれば分かる。
私の事を一人の女の子として大事にしてくれてるって、良く分かっちゃったから。
学院の中だと一部の人を除いて、誰もが私を姉の代替としてしか見てくれていないのは明白だった。
男子生徒から何度も告白された事もあるが、それは姉は高根の花で本人は群像くんに懇意にしていたから、同じような容姿をしている私にっていう下心が透けて見えていたから良く分かる。
「だけど、あんまりしつこい人はいおりちゃんや真瑠璃ちゃん達が追い払ってくれたっけ……」
あまりにもしつこいというか、ストーカーレベルの人に関してはいおりちゃんや真瑠璃ちゃん達に相談して、一緒に追い払ってもらった事もあったりはする。
まあ、そんなことは考えない様にしても今の私が置かれている状況は、本当にずっと待ち望んでいた状況そのものだった。
「いつか、彼にお礼をしないといけないよね……」
ここにいると霧との戦いに巻き込まれるのは間違いないけれど、陸にいた頃はほとんどというか精神的に死んでいたと言って良い状況の私が、ようやく自分で生きるために立ち上がれたと自覚出来るくらいに動けるようになったんだ。
いずれは彼に何らかの形でお礼をしなくちゃいけないって思う…… 彼が望むんなら純潔をささげても良い、そう思えるくらいに私は感謝しているし好意も抱いているつもりでもある。
一年間、長くて短い時間を過ごしてきたんだ、この気持ちに区別を着ける程度は私にだって分別はあるつもりだ。
「でも、今は早く色々と役に立つようにならないと」
まあ、今の私は色んな意味でポンコツなので早く一人前になって、自信を持って彼の隣に並び立った時に考えよう。
そう考えるのだった。
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