第5話 世界の胎動
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だからこそ、琴璃は疑問に思うのだろう。
今更、散々に人類を攻撃し続けていたのに自分達が圧倒的有利と言える状況で、理解をしようとする彼女達霧という存在の事を。
まあ、当然と言えば当然の反応だろうとは思う、何しろ今まで好き放題に人類を攻撃し続けた側が急に人類を理解しようとしている、なんて聞かされてもなんの事を言っているのかが分からないという心境になるのは当然の事だろうしな。
「恐らくというか、霧が考えているのは人間が取る戦術とか戦略などを理解するためかもしれないな」
「なるほど、それを理解すれば大海戦の時よりももっと上手く立ち回れる、そういう事なんですか」
「多分だがな、というよりも霧と直接話した事がないから推論ばかりになるけどな」
「ええ、そうなってしまいますね……」
どんなに琴璃と霧に関しての考察を行おうとも、実際の霧に接触した事がない以上は全てが推論、それも言葉遊びの域を出ないレベルの話ばかりになってしまうな。
そんなこんなと会話をしていたら、昼食を終えた俺達は少しの休憩時間を挟んだ後、俺の訓練も兼ねての琴璃の訓練を再開するのだった。
ここに来れて本当に毎日が充実している。
私はそう思う。
「知らない技術に加えてやっと見つけた私の得意な事にやりたい事……」
大体2年前のあの日に、今は同居人となっている東夜と出会い何度か街中で遭遇したりして世間話くらいはする関係へとなっていった。
彼と街中で交わす世間話は、あの当時の私にとっては数少ない癒しになっていっていたと思う。
「姉さん……」
私の双子の姉は自慢というか、妬ましいとも思ってしまうけれど【完璧超人】と言って良いくらいの人だった。
何をやらせても常に誰よりも上手く、更には学校の成績でも実技も筆記に置いても全てで1位をとり更には性格まで良いときたら双子の妹として、戦うというか競うという気持ちすら起らない人だった。
そんな姉に比べて私の成績は実技は真ん中くらいで、筆記の方は真ん中よりも上レベル…… 姉の方が完璧超人と言えるくらいだから、学校じゃ結構なやっかみや嫉妬に似たものが私に多数の生徒達からぶつけられた事がある。
更には両親の期待やら関心も姉が全て持って行った、私にも両親は優しかったけれど彼らは私には何も期待などしていなかったように思う。
もう戻るつもりもないから確かめようもないけれど。
「でも、そんな姉さんももういない……」
さっきからずっと過去形で語る事が示すように姉さんは、もういない。
今からちょうど一年前の今日に亡くなったからだ、原因不明の第四施設の焼失と多数の犠牲者を出してしまった事故、あの事故で私は
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