Another27 愛情
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声をかけた。
空「ごめんなさい…アインスさん」
アインス「ん?」
空「結局、私の紋章のためにメールをくれた人を助けに行くんですよね」
アインス「何だ、そんなことを気にしていたのか」
空「そんなことって…」
アインス「仮に私の紋章が最後だったとしてもお前はそれを気にするのか?」
空「……きっと、考えもしなかった……」
アインス「そうだろう?人のことばかりを考えすぎだ。まあ、それがお前らしいところでもあるが…」
空「私らしい…アインスさん。私の紋章…手に入れる価値があるんでしょうか?」
アインス「?…あるに決まっているだろう?これからの戦いを生き延びるのに紋章は必要だ。私達もお前達をいつでも守れるわけではないしな」
空「でも、愛情の紋章なんて…私、全然似合わない…寧ろ、そういうのはアインスさんの方が…」
アインス「何故そう思う?」
空「…私には愛がないから……」
アインス「どういうことだ?話してみろ。」
空「あれは、私が女子サッカークラブにいた頃……」
空はそのクラブのエースストライカーだった。
大事な試合だった。
怪我を負った足を引きずって空は、母に何度も懇願する。
しかし母は頑なに行かせなかった。
空の母親は華道の家元であり、空は母の言葉に反発することもしばしばあった。
試合の日、空の母親はその試合に行くことを反対した。
それだけじゃなくて、サッカーも止めろと言ったそうだ。
空「…結局その試合は酷い負け方だった。私は、そのクラブに居られなくなったわ…。お母さんは、私を華道の家元の娘としか見てないのよ。私より家元としての立場の方が大切なの…。そういう人なの…!…だから、愛情を知らずに育ったって言われても…しょうがないの」
知らないうちに涙を零す空にアインスは優しく撫でてやる。
かつて自分の娘達にしたように。
アインス「そうか…しかし、武之内。もし私が武之内のお母様の立場なら、同じように止めたと思うぞ?」
空「え?」
アインス「私には妹がいてな、だから武之内のお母様の気持ちはいくらか分かるつもりだ。お前は女の子だ。いくら男の子のようにありたい女の子であっても、いつか女の子は女性になる日がやってくる。いつか好きな人が出来て、恋をして、恋愛して、結婚する日が来る。確かに男の子なら多少傷がつこうがそれでいいのかもしれない。だが、武之内もいつかオシャレや化粧に興味を持つ日がやってくる。もしやってこないとしても、大人になって社会に出たら女性は女性のふるまい方を覚えなくては社会に爪弾きにされる。必要最低限度の振る舞いが求められるのが世間なのだから……。」
フェイト達のように戦士の道を歩んでいる者達ならまだしも、空は戦士ではない。
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