第十一話
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レベルのセキュリティシステムをに導入しているんだ。補助金もいっぱいでたのかもしれない。
普通なら、普通の人間ならセキュリティシステムを通過せずに出入りはできないんだ。これ情報の外国への流出を防ぐ為にも一役買ってるらしいけどね。よくは知らない。
そもそもこの街区に自動車を乗り入れられる人間は殆どいない。すべて地区を巡回しているモノレールか市バスで通勤通学は事足りる設計だからだ。せいぜい、電動バイクで通う大学生・院生くらいだ。中高生は終電がなくなるまでには帰らされるからね。
許可車両だけしか入ることができないから、街の空気はとっても綺麗。緑もいっぱいだから国際的エコロジー都市という面も売りの一つだ。
このエリアに自家用車で入ってこられる人間なんて、学校関係者かコネのある大金持ちが子供の送迎に使ってるだけなんだ。
「やっぱ仕方ないか」
俺は残された最後の選択肢を選ぶしかないことを認めざるを得なかった。
「決まったのか」
腕組みをしてこちらを見ていた少女がため息をつく。
「家に電話して迎えに来てもらうよ」
「そんな結論に達するためだけに、わたしを真夜中の寒空の下で待たせていたというのか? 」
「ごめんごめん。こんな俺でもいろいろあるんだよ。はっきりいうと実家にはあまり頼りたくないんだよね。こっちの高校に入るために擦った揉んだあったからなあ」
俺は言葉を濁す。
自分ちの込み入った事情なんて人に聞かせもんじゃあないからね。家から飛び出したままこっちの高校に進学し、一人暮らしをしているからね。バイトをして生活費だけは稼いでいるけど、結局学費は出してもらっているから、独立しているわけでもないんだな。
少女は呆れたような瞳で俺を見ている。
俺が考えていることは彼女には筒抜けだからあんまり意味が無かったか。
ため息をつくと、俺は携帯を手にした。素早くプッシュする。
……頼む、あいつがでないように。
俺は必死で念じた。
2コールめに受話器が取られた。
「もしもし、月人でございます……」
若い男の声だ。懐かしい声だ。
俺は大きくため息をついた。
「十さん、俺です」
「おお、柊様。お久しぶりです。元気にされていますか? もう1年以上経つんですよね。……たまにはこちらに帰ってきてください。旦那様も奥様もお会いになりたがってます」
久々に聞く彼の声はあの時からちっとも変わっていない。
十 兜 (もぎき かぶと)。凄い名前。俺が小さい頃から親父の弟子として家に出入りしていて、よく遊んでもらったりもした。歳は離れているけど、兄貴のような存在でもあった。そして、ある時期からは親父の会社で秘書兼ボディーガードとして雇われたみたいだった。
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