第十話
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時間の無駄ね。わたしは、こちらに来たばかりだから何にもわからない。……納得は行かないけど、お前に任せるしかないんだ。さあ、さっさと安全な場所にわたしを連れて行きなさいよ」
怒り疲れたせいか、少女は素直になった感じ。
俺は内心でホッとした。
「了解。じゃあさっさと学校から出ますか」
再び俺は少女の手を掴もうとしたが、こんな人の通れない場所を移動するには少女を歩かせるのでは効率が悪すぎることに気づいた。
少女をぐっと引き寄せると、そのまま抱きかかえた。
当たり前だけど、とても軽い。軽い軽い。何か良い香りが少女から漂ってくる。
「ちょ、お前、何を……」
「だって、こっちの方が話が早いだろ」
俺は走り出した。
薄明かりの林の中でも視界は昼間なみにクリアだ。抱きかかえた少女は俺にとっては重量が無いのと同じだ。木々の中を俺は平地を走るように抜けていく。
体が軽い。闇夜でも風景が微細な部分までハッキリと見える。音も空気の流れも全てがもの凄くハッキリと感じられる。
あちこちに配置されている監視カメラの捉えてるエリアさえもわかる。……見えるんだ。
俺はその死角を縫うように走った。
ほんの数分走っただけで、外と学校を隔てる塀の側に来ていた(といっても今の俺の身体能力での話だからかなりの距離を走ってるんだけど。だからこの学校の敷地の広さはかなりのものなんだ)。結構なスピードで走ったのに、俺の呼吸は全く乱れていない。
塀の高さは3メートルくらい。景観を損ねないようにデザインされているけど、下からは見えないてっぺん部分にはガラス片が埋め込まれ、場所によっては有刺鉄線がぐにょぐにょに巻かれていたりする。
とても飛び越えられる高さじゃないね。
当然監視カメラも設置されているけど、それは外を向いている。だから場所によっては塀の側に近づくこともできるんだ。
全然わかるはずもない警備エリアの死角が何も知らないはずの俺にはハッキリとわかる。感じられてしまうんだ。
これは凄いな。
素直にそう思った。
周囲を見渡す。
塀の近くのポールにカモフラージュされた監視カメラがあるのがわかった。定期的にグルグルと回ってモニターしているようだ。カメラの捉えているエリアがまるでサーチライトで照らされているように俺の視界は捉える。
便利な機能だなあ。
「どうするつもり? 」
少女が俺を見つめる。
ほんの数十センチの場所まで彼女の顔が近づいている。
よく見ると結構大人びた顔をしているんだなと思った。
……しかし、結構可愛いじゃん。
「……お前は頭が悪いし顔も悪い上にかなり変態の気があるようね。……ご主人様をお前は自身の爛れた欲望の対象として見ているのか? まった
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