第九話
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て封絶みたいなものかな」
俺はあるアニメを思い出した。
「言ってる言葉はわからないけど、お前が考えているような【もの】であることに間違いはないわ」
なるほど。それで携帯がつながらなくなったのか。
「でも、今は奴が逃走しちゃったから、結界は解けているわ。破壊した世界を修復することなく逃げたから、やがて誰かに発見されて騒ぎになるでしょうね。いまだに誰も来ないのは夜であることと、ここが普段人が近づかない廃校舎だからよ」
「じゃあさっさと逃げないといけないわけだ」
「そういうことね」
俺たちは校舎から逃げることにした。
寧々をこの校舎に置いていかなければならないのが本当に忍びない。でも彼女の遺体を持ってどこへ行けばいいっていうんだ。
安全が確保できたら、救急車を呼ぼう。
時間は深夜0時50分……。
当たり前だけど、校舎には誰もいない。
全校舎のセキュリティシステムがオンになっている時間だ。
学校中に設置されたセンサーが稼働しているから不用意な侵入には警報をもって答えてくれるはずだ。
あちこちに設置されたカメラは24時間稼働中だ。こんな時間に金髪の女の子を連れて歩いている高校生は明らかに異常だな。おまけに俺の今の格好は人にはあまり見せられない。ズボンは右脚の付け根から下は無い。右脚は剥き出しなんだ。上だって学生服の下は如月に引きちぎられたせいで裸だ。ボタンは全部あの時に脱落しているからボタンを留めて誤魔化すこともできない。裸の上に学ランを羽織り、右脚は太ももから下を露出。顔や体は大量の血を浴びて汚れている。このままウロウロしてたら完全に不審者でアウトだな。
ま、そうはいってもセキュリティシステムは侵入者に対して向けられているから、外からの侵入者には厳しいが、中から出る人間に対しては隙が多い。監視カメラのエリアに入らないように逃げ切ればなんとか大丈夫だろう。
校舎の外に出ると、
「俺の後をついてきてくれ」
そう言うと少女を手を掴んだ。
廃校舎を出るとすぐに雑木林の中に入り込み、木々の中を歩いていく。
木々の合間から月が辺りを照らしている。月明かりがあるとはいっても、林の中まではほとんど届かないから、少女にとっては歩きづらいに違いない。
「足下に気をつけろよ」
「そんなのわかってるわよ」
そう言ったそばから、木の根っこに躓いて転びそうになる。
「だから言っただろ」
「うるさいわね。……そもそも、お前」
そう言いながら、彼女は立ち止まる。
俺は彼女を見る。
「どうした? 」
「お前はわたしの下僕になると約束した。いくら頭の悪そうなお前でもそれくらいは覚えているわね? 」
「……頭が悪そうに見えるかもしれないけど
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