第三話 試験前勉強
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「......え、なんか言った?」
「みんなで昼食を食べるという話です。 せっかくのヴィヴィオさんの提案なのに、また考え事をして人の話を聞いてませんでしたね?」
「あはは......ごめんごめん。 くだらないこと考えてた」
「......記憶ですか」
「あ、学校の制服のこと。 あんまかっこ良くないなーと」
「ちょっと心配して損しました」
そう記憶ばかりの息苦しい生活はしたくないから仕方ないね。
心配の空振りにムスッとするアインハルトを宥めていると、横からリオがひょっこりと。
「えー......もういいです?」
「うん。 アインハルトの早とちりみたいなもんだったから大丈夫。 お昼食べに行くんでしょ? 場所は決まった?」
「無難に近くのファーストフードでいいかなーって感じですね。 ......聖王様のお口には合わないかもしれませんけど」
「言ってくれるじゃないか。 ボクもそこの覇王様も一人暮らしだからファーストフードに頼る機会は多いんだよ......いやはや、便利過ぎるのも困るね。 不健康だと知っても食べちゃうから」
「意外と庶民派......」
仕送りがあっても一人暮らししてる以上、実家みたいな贅沢は出来ない。 アインハルトも同じだ。 スーパーのタイムセールに走るし、電気代節約の為にどちらかの部屋へ行き台所に並んで料理もする。
広大な世界を知り、自分と向き合え???父様の言葉が脳裏を過る。 歴代最高レベルで血が濃い聖王の子孫なんて面倒な立場にいてこんな自由に動けるのは他ならない父様の方針だ。 本来なら箱入りでも不思議じゃない。
曰く、世間知らずの王がいてたまるかと。 実にそれっぽい、実に無茶苦茶な、頭の固い人への言い訳。
けどそのおかげで今がある。 外の世界を見て、人々と交流して、様々な事を知った。
陛下がボクの制服を引っ張る。
「早く行こうイゼットくん! わたしお腹空いちゃった!」
「ブラックホール胃袋を持つヴィヴィオさんのお腹空いた宣言頂きました。 これでファーストフード店は今日で在庫が尽きますね」
「ヴィヴィオでブラックホールなら、その三倍は食べるアインハルトさんの胃袋っていったい......」
「覇王ですから」
自分の超大食いをクラウスのせいにするアインハルト、苦笑いするリオ、無邪気に笑うブラックホールな陛下。 日に日に実家で話したい内容が増えるのには思わず笑みが零れる。
「そう急がなくても店は逃げませんよ。 焦らずゆっくりと行きましょう陛下」
楽しい時間は、ゆっくりと過ぎてほしいから。
「ところで、先程からコロナさん姿を見ませんが......」
「コロナなら『シルトさんをビックリさせる!』
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