第三話 試験前勉強
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しーー」
鎧を解除した僕の鳩尾に全速力で助走をつけた陛下の頭突きが入った。 泣きそうなくらい痛いけど陛下の前で涙を見せるわけにもいかないので、根性で堪える。 ついでに爆笑してる二人の足元に魔法で生み出した実体剣”カイゼルブリンガー”を八本本射出する。 が、目にも留まらぬ速さでアインハルトに八本全て残らず叩き折られた。 お前本当に人間か。
アインハルトの人外ぶりを眺めていると、バリアジャケットに顔をうずくめていた陛下がいつの間にかこちらを見上げていた。
「ねーねーなにしてたの?」
「明日の実技試験し向けてアインハルトと練習していました。 結果は後ろの惨状からお察しください。 陛下はリオとどのようなことを?」
「わたしとリオはさっき図書館に行ってたの。 今回の実技試験は簡単だから、筆記試験を頑張ろうって」
後ろの惨状を最初から無かったことにして会話を進める陛下の優しさに感激した。 まさにこの天使の対応は聖女だ。
「うわっ、どうしたんですこのクレーター。 覇王断空拳の爪跡?」
「いえ、イゼットの頭を叩きつけたらできたクレーターです。 断空拳ならこの倍のサイズになりますし、イゼットは鼻血で済んでません」
「さらっと恐ろしいこと言いますね......」
「リオさんも受けてみます? 自分の防御能力を簡単に測れる良い機会ですよ」
「うーん......ラスボス先輩の防御を抜く攻撃は受けたくないですねぇ。 防御能力の測定云々より命が危ないのはちょっと」
三途の川への手招きを失敗したアインハルトはしょんぼりと肩を落とす。 装甲の薄いリオにあれを叩き込むならさすがに止めに入っていたところだが、リオ本人の危機察知能力により回避された。 おいそこ、残念そうにするな。 こっちを見るな。 またあの攻撃を受けるのは嫌だよ。
こちらの強い意志が伝わったのか、アインハルトは仕方なさそうにバリアジャケットを解除していつもの中等科の制服姿に戻る。 隠すとこは隠す中等科の制服には実家のような安心感を覚える。 対して初等科の制服はどうしてこうなったのか司祭どもを徹底的に問い詰めたいデザインになっているのは伏せておく。
三人が制服なのに自分だけバリアジャケットなのも空気を読めてないように思えたのでさっさと解除する。 深緑色のズボンに同色のラインが襟に入ったシャツ。 ケチをつける気はないが、制服に気合いを全振りする学院にしてはかなり地味なデザインだ。 男子生徒からの評判もあまり良くない。 女子生徒の制服が可愛いから我慢しろとしか言えないが。
三人が何か話していても、ボクはひたすら制服のことを考えていた。
暫くして気がつくと、目の前にアインハルトがいた。
「???聞いてますかイゼット」
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