第三十九話『二人きり』
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促されたシュハイクは席を立つ。
「天輪は我が国内の研究施設を襲撃し、死傷者も数人……天輪は索的範囲外へと姿を消した。奴を見失ったのは手痛いが、変わりに面白い事がわかった」
「面白い事?」
「奴が襲った施設は……VTシステムを研究していた」
その言葉に部屋はざわつく。
「しかも此度のラウラ・ボーデヴィッヒのレーゲンに仕組まれていたものは其処で開発されたものだ」
「まさかVTシステムが……本格的に施設状況を洗い直さねばならんな」
「ふん!あの近辺の管轄はザルバ、貴様だろう!貴様も関与してるのではないのか?」
白い髭を撫でながらに言う一人の将軍。ザルバと呼ばれた初老の男は反論する。
「確かにあの近辺は私の管轄だ!VTシステムの施設があることを知らなかった非は認める、だが私は関与していない!」
「どうだろうな、貴様は然程信用──」
「喧しい!!」
そのシュハイクの怒声と共に部屋は静まり返る。
「内部の者で争う暇などはない、今我らがすることは次にもし天輪が襲撃して来たときに、いかに迅速に対応するかだ」
「シュハイクの言う通りだな」
今まで黙っていたゲルハルトは口を開き始める。
「奴の力は図りしれん。下手すりゃ黒ウサギ隊でも苦労すんのは必死だ」
「……」
ジトッとシュハイクは睨むが、ゲルハルトはそれを無視し
「だがな、こっちには切り札があんだろ」
皆が互いに顔を見合わせる。
「スウェン・カル・バヤンか……」
「そう、あいつは恐らく前よりも圧倒的に力を付けた……それこそ」
「私に勝るとも劣らない強さを持っているに相違ない」
うんうんと何度もシュハイクは頷く。
「最悪の場合はスウェンを本国に帰還させる事もあり得る。基本は我ら黒ウサギ隊に事態は任せてもらうことになるが、異論はあるか?」
「……」
無言。ゲルハルトはよしと呟き
「さて、んじゃ会議はお開きだ」
※
「老害どもめ、所詮は役立たずの烏合の衆か」
シュハイクは苛立ちつつ、通路を歩いていると端末がなる。それを見ると表情を更に曇らせ
「私だ。一般通信で掛けてくるなと何度もいっているだろう。ああ、奴は私の隊で面倒を見ることになった。あれの存在は計画にも邪魔になるだろうよ……わかった、切るぞ」
通話を切り、もう一度端末を仕舞おうとするが再び端末は鳴る。
「今日は随分と……む、これは……」
※
水着売り場へとやってきたス
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