【第二章】 魔法継承篇
Episode 4:encounter―出会い―
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後
臭いを嗅いだだけで口の中に味が広がる気がする。とても苦くて、苦手な人は砂糖を入れるであろう、あの香り。
そう、コーヒーだ。
そんな苦みが口いっぱいに広がる――わけではなく、広がるのは鉄の味。
あたしは何を飲食しているんだろう? 鉄とか、普通は食べないし…。というか、寝る前って何してたんだっけ? 学校出て、柚夜と一緒に帰って――あれ? …違う。帰らずに公園に寄ったんだ。
「まだ寝てるいたりするのかしら?」
あたしの思考を断ち切ったのは、謎の声。
聞き覚えが全くない。
声からするに、女の人で二十代に達していないと思われる。
「起きてること前提に話を進めるのだけれど、まだ、瞼が重いんじゃないかしら?」
口を開きたいが、口は開かない。――いや、開こうと思えば、開けるだろうけど、少し開いただけでかなり顎付近が痛む。なので口は開かない。もちろん目も同じ感じだ。
でも、返事しないのも悪いし……。一応、頷いておこう。
コクッと頷く。
「でしょうね。身体全体がケガだらけなのだから、仕方ないのだけれど」
この女の人の声は、あたしの身体が全体的に怪我をしている。と教えてくれている。
試しに右腕を動かしてみる。
ピクッ
少し動いたものの、右腕には鋭い痛みが迸る。
これで、女の人が言っていることが本当のことだと分かった。
信じて良いかどうかはともかく、まだ起き上がれないので、寝ているしかなかった。
どれくらいの時間が経っただろうか?
瞼の重みも軽くなり、目が開けれるようになる。
ゆっくりと目を開くと――女の人の顔があった。
「うわぁ!?」
寝転がっている状態になっているので、後ろには下がれないことに気付き、ソファーの手摺りの方へと身体を引っ張り上げた瞬間、至る所に激痛が走った。
「うぐっ!」
肘や膝を軽く曲げると激痛が走って、腹部は鈍い痛みが残り続けている。痛む部分を見ると、痣がくっきりと残っていた。
――そうだ。柚夜と喧嘩になって、ボコボコにやられてしまったんだ。
「痛むかしら?」
「んっ!!」
女の人がいきなり、あたしの視界に入っきた。
顔自体は、日本人形のような可愛いといった感じではなく、美人に近い気がする。それが日本人形の実物大に成長させた感じだから、尚更美人と思えてくる。しかし、いや、だからと言うべきなのか、表情は全くの無表情なのが何とも言えないくらい残念だ。ついでに……怖い。
「体調はどうかしら? まだ痛むのなら、寝ていてもらっても構わないのだけれど?」
「あっ、あぁ、大丈夫……かなぁ……」
「そうかしら? 顔色がま――」
「い、いや、問題ない、大丈夫よ、めちゃめちゃ元気! 今まで生きてきた
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ