【第二章】 魔法継承篇
Episode 4:encounter―出会い―
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って動いてるの?」
柱時計に付いている振り子は動いているが、針が進まなくなった。というパターンが、祖父の家で何度もあった。その経験を踏まえて訊いたのだが……。
「振り子が動いているのだから、時計は止まらないはず…だけれど……」
後半の方は自信がなくなったせいか、声が小さくなっていった。
「じゃあ、時間は合っているのよね?」
「……合っていることを願うわ」
「そう」
ツッコミを入れずに、適当に返事をしておく。
時間に間違いが無いとして、十二時十分か零時十分のどちらかだ。けど、窓の外を見ると、暗くなっている事を視野に入れて考えると明らかに後者だ。
普段は寝ている時間だが、状況が状況なだけに寝られない。
はぁー、っと溜息を吐いて、目を泳がせているとカチッ、と音を立てて柱時計の針が動いた。長針は填められたレンズのヒビと丁度重なる。
――動いた…。
壊れてないことを前提に話していたけど、壊れてないことが確定した。
ということで……
「まぁ、時間ならいくらでもあるわよ」
「……良かったわ」
と言い終えたところで「ふぁ〜」と欠伸がでてしまう。
時間が時間なだけに眠かったりする。――というか…。
「…あの……ここって…ドコ?」
ここから自宅が近いとありがたいんだけど……。
「あの公園から……」
「あの公園から?」
オウム返しで聞いてしまう。
あの公園から少し歩いたところに、自宅がある。だから公園から離れるということは、自宅から離れるという事になってしまう。自宅側の方向ならありがたい。十九歳だから、車の免許を取っていると考えて……車で送ってくれると尚ありがたい。
「一キロくらい離れたところ。ついでに言うと、学校側に…ね」
「――えっ? …嘘でしょ?」
「本当よ。嘘ついたって意味無いでしょ。ついでに、学校近くの廃工場の隣に道があるでしょ? そこを上って行ったところに、この家はあるわ」
「それって二キロはあるじゃない!! ――って、ちょっと待って…」
二キロもの道程がある。そんな道程を女子高生(体重は平均くらい)を背負って、ここまで来るのは不可能だ。断言しても良い。ということは、車的な何かがあるに違いない。
「あっ、じゃあ、悪いけど車で――」
「車って見ていると、破壊衝動に駆られるのが不思議だわ」
……ですよね。送ったりするの面倒くさいですよね……。
あたしが肩を落としてがっかりとしていると、聖歌は急に声のトーンを落として、真剣な表情で話し出す。
「……ここからは、真剣な話だけれど――」
雰囲気も少し重くなっていった。
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