【第二章】 魔法継承篇
Episode 4:encounter―出会い―
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中で、一番元気よ!!」
「あなたがそう言うなら、良いのだけれど」
何故か変な汗をかいてしまったが、それ以上に妙な罪悪感に駆られてしまう。
それらを拭いさるためか、体が反射的に目を閉じて、一呼吸をした。
そんなあたしを無視して、女の人はカップにコーヒーを注いで、テーブルに置いてあたしの方へ滑らせる。
「……飲んで良いわよ」
「えっ……?」
女の人のお気遣いはありがたいのだが、あたしはコーヒーが飲めない。口に広がる苦みが、どうしても我慢できない。
「ご、ごめんなさい。コーヒーはちょっと飲めなくて……」
「大丈夫。少し飲んでみて」
女の人はもう一押ししてくる。
まぁ、ちょっとだけ……ほんのちょっとだけなら、飲めないこともないし…。
「それじゃあ、頂きます」
どこのファミレスにでもありそうな白いカップに口を付けて、コーヒーをゆっくりと啜る。
口の中には、ほろ苦い風味が広がっていき、やがて甘さへと変わっていく。
あれ? 甘いけど砂糖の甘さじゃない気がする。
もう一啜りする。
やはり、口の中には、コーヒー独特のほろ苦さが広がる。――そして、謎の甘さ…。
「…あの……これ、砂糖とか入れました?」
あたしの見ていた前じゃ、砂糖は入れていなかった。もしかしたら、最初から入れられていたのかもしれないが、普通は後から入れるものじゃないのだろうか?
そんな、あたしの考えは間違いだと言うように、首を横に振る。
「えっ? じゃあ……」
「自己紹介をし合おうと思うのだけれど、良いかしら?」
「あっ、はい」
すると女の人は、緊張を振り払うように深呼吸を一回して、手に人の字を書いた後、目を瞑ってから「…羊が一匹……羊が二匹……羊が――」と数え出す。
女の人も相当緊張しているのだろうか。初対面なのだから、仕方ないこととは思う。
このまましておくと、寝てしまいそうなので、あたしからすることにする。
「あの……あたしからしますね」
そう言った後、一度息を吐く。
あの人も人見知りなのだろうか? あたしは、どちらかというと人見知りに近い方だと思う。決して、極端な人見知りではないため、初対面の人相手にガチガチになることはない。
「あたしの名前は、夜月 珠澪です。えーっと……」
ここから何を話せばいいのだろう? 誕生日とか? いやいや初対面の人に誕生日とか……
などと考えながら結局、歳、高校だけで自己紹介を済ませた。
◇ ◆ ◇ ◆
珠澪は自己紹介を終えると、不思議なコーヒーを一口飲んで、ゆっくりとテーブルに置いて、目の前の女性を改めて見てみる。
真っ黒の髪は目と肩に掛からないように、切り揃えられている。所謂ボブカットと言わ
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