第八十二話
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がら俺の肩に向かって投げつける。
その手榴弾はAA−12から放った弾丸で撃ち落とし、弾丸はそのままリーベへと向かっていくが、弾道予測線からかまるで当たらない。もちろんそのことは分かっており、AA−12を放ちながらも俺は再びリーベに接近していた。大きく足を動かした中段蹴り――と見せかけて、風船爆弾で破裂していた石つぶてを蹴り上げ、即席の飛び道具としてリーベに放つ。
「やだやだ、やることがちっちゃ――消えた!?」
ただし、それはあくまでただの石つぶて程度。当たっても特にダメージはなく、現にリーベは特に気にする様子の欠片もない。……しかしその隙に高速移動術《縮地》を発動、風船爆弾に当たらないようにリーベの死角へと回り込み、AA−12の弾倉を入れ替えて彼女に構える。
「それは……どうかな!」
入れ替えた弾倉の中に入っているのは、AA−12専用の特殊弾倉《FRAG-12》。小型のグレネード弾とも言えるソレが、例外なくフルオートでリーベに放たれる。風船爆弾以上の爆薬がリーベに放たれ、彼女の驚愕する表情を最後に見ると、あとはその場所は爆発に包まれていき……爆風が止んだそこには、もはや何もなく。
――なっていたのならば、俺の勝利で終わっていたのだが。そこには焦げた装甲板と、笑う踊り子の姿が変わらずそこにあった。
「惜しい惜しい! ……一回見てなかったら、危なかったかな?」
……町での鬼ごっこの際、リーベにはこの《縮地》を一度見せている。それによって反応し、出現させたあの装甲板で防ぎきったのか。
「炸裂装甲って知ってる? コレ、それなんだけどさ」
炸裂装甲。……確か戦車の装甲板に使われている物で、敵からの攻撃を受けた際に自らの爆薬を爆発させることで、敵の攻撃を相殺させるものだったか。先の爆発は《FRAG-12》の爆発だけではなく、その炸裂装甲の爆発もあったということらしい。……《FRAG-12》の弾倉から通常弾の弾倉に戻し、炸裂装甲の裏に半身を隠れているリーベに構える。
「だが、もう打ち止めだ」
小型とはいえ《FRAG-12》とて伊達ではない。もはやアレは炸裂装甲ではなくただの鉄クズであり、ただの鉄クズならばAA−12の弾丸は容易く貫通する。加えて風船爆弾も全て落ちきったらしく、空中からの攻撃はもうない。
「確かに、もうこの子はガラクタだね! だけどさ、まだこんなのもあるんだよ!」
リーベがそう言い終わるより早く、AA−12が火を噴きフルオートの弾丸がリーベを襲う。リーベはわざとらしく悲鳴を上げながら、全身を素早く炸裂装甲に隠れる。役目を終えたとはいえ数発程度ならば防いでみせ、隠れるリーベが最後にその手に持っていたのは――スイッチ。
「じゃあね! ショウキくん!」
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