第八十二話
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き渡ると、それぞれが煙をあげて爆発する。視界が煙一色となって木々も見えない程になり、AA−12を構えて視覚以外の感覚を研ぎ澄ませる。
自分以外の誰かの感覚。腐葉土を踏む自分以外の足音。遠い。少なくとも自分の銃の射程圏ではない。そちらから何かが投げられる音。拳大ほどの大きさ。AA−12をそちらに発砲する――
すると、AA−12から放たれた弾丸がその拳大のものを撃ち落とし、それが爆発四散し視界の煙を弾き飛ばす……手榴弾か何かだったのか。ともかく煙が晴れて視界を確保できた、手榴弾が投げられた方向に走っていく。今度こそ、この先にリーベがいる……!
……と、走りだした俺の腕に何かが引っかかる。それがワイヤー――だと気づいた瞬間には、すぐに俺の腕の向こうでまたも爆発が起きる。すぐさま横に飛んで転がることで何とか事なきを得たが、恐らくこの木々には、今のワイヤートラップがひしめいている。……偶然遠くのワイヤーに反応したから良かったが、見えないワイヤーをいつまでも避けてはいられない。
「なら……」
とは言っても回り道をしては、リーベに逃げられ位置が分からなくなってしまう。ならばすることはただ一つ、ワイヤートラップを破壊するのみだ、とAA−12を構える。リーベではなく木々にめがけて引き金を引く。銃声が鳴る度に木々が破裂していき、木々が倒れる度にワイヤートラップが爆発していく。フルオートのままAA−12を撃ち続けると、弾丸と爆発からすっかり木々は見る影もない。
「……よし」
AA−12の弾倉が空になったのと同時に、木々に対しての自然破壊は終わる。弾が切れた弾倉を適当に捨てると、新たにAA−12に弾倉を装填する。焦げた木々を蹴りつけてワイヤートラップが残ってるかを確認しながら、再びリーベへの歩みを進めていく。
……こんな短時間に、よくもこんな罠を仕掛けたものだと思いつつ、リーベが使う銃に関して思索を巡らす。俺のこのAA−12は、銃に詳しくない自分がリーベにお勧めされたものだが……俺はリーベの銃や戦術を知らない。せいぜい今の爆弾による小細工と、街中での鬼ごっこのみ……肝心の《銃》に関しては、全く情報はない。
爆煙漂う森だった場所を抜け、湖がよく見える高台へとたどり着く。以前は穴場スポットだったであろうその場所は、今も変わらず雄大な景色を見せつけており、そこに――踊り子が気ままに踊っていた。薄いヴェールが夕日に照らされて光り輝き、幻想的な雰囲気を醸し出している。
「あ! 早かったね、ショウキくん!」
油断なくAA−12を構える俺に対して、あくまでリーベは余裕げにこちらに笑いかける。……いや、余裕というより……楽しげに、か。踊るのを止めてこちらを向く。
「それじゃ……一緒に楽しも!」
リーベが
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