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詩集「棘」
この夜を駆け抜けて

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畔に群れる白詰草
微かな香りが風に舞う
毬のような白い花が
涼しげに夏を彩る

緩やかに変わりゆく空の色
誘われるように変化する世界
心は想いへとしがみつき…

なぜ哀しむのかを知ってるのに
それを消す術はなかった…

暑い陽射し…
落ちた影は…一つ…

この夜を駆け抜けて
君への言葉 探してる
それさえいつか名残雪のように
溶けて流れて…どこか遠く
思い出の彼方へと…


浅い眠りで目を覚ます
密かな想いは夢に散る
冷やかな藍の空へ
話すみたいに星は瞬く

幻は不意に解けて
気付けば一人で佇む日暮れ
想いは紅に染まって…

どうしてこんなに淋しいのかな…
風は戯れに頬を撫でてく…

黄昏の闇…
堕ちた陰は…一つ…

この夜を駆け抜けて
君への気持ち 抑えてる
ただ愛しくて会いたくて堪らず
走り続けて…いつの日にか
優しく笑ってよ…

この夜を駆け抜けて
君への言葉 探してる
それさえいつか名残雪のように
溶けて流れて…どこか遠く
思い出の彼方へと…




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