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豹頭王異伝
曙光
英雄の種族
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「良く、わかりますよ。
 北の怪物クラーケンに操られる幽霊船姿は、私も目撃しました。
 タルーアンの女戦士、イシュトと共に闘いました。
 クラーケン消失の際、ゾンビー達が解放された事も知っている。
 彷徨える魂は解放され昇天するであろう、私は確信を持って断言する事が出来ます。

 御要望、確かに承りました。
 キタイ航路へ出張った事はありませんが、沿海州には顔馴染みも居る。
 私も、海は恋しい。
 何度、オルニウス号に乗り再び海に出る夢を見た事かわかりませんしね。
 イシュトさえ納得してくれれば、私に異存は有りません。
 直ぐにでも沿海州へ飛び、キタイに頼らぬ独自の東方航路を探索してみますよ」
 カメロンは敬虔な口調で呟き、賛同の意を表した。

「恩に着る、提督。
 イシュトヴァーンは生命に別条無いとは云え、傷が癒えるまで暫く動けぬ。
 クリスタル解放戦に参加すると言い張るだろうが、当面の間は治療に専念せざるを得ぬ。
 性急な彼と云えども、無謀な行動を起こす心配は無いものと思われる。
 パロにて負傷を癒した後に、イシュタールへ帰還する事となろう」
 グインは穏やかな口調で説明を補足し、カメロンが大きく頷いた。

「助かります、我が友よ。
 イシュトを見張るのは、えらく骨が折れますからね!
 アルド・ナリスは腹の読めぬ男、警戒を要する策謀家と認識していましたが。
 貴方が保障してくれるのであれば、心配は致しません。
 イシュトを、宜しくお願いします。
 ゴーラ国内については私より、ユディトー伯の方が詳しいですから。
 貴方の御蔭で安心して後を任せ、後顧の憂い無く沿海州に行けますよ。
 ロータス・トレヴァーン公爵は道理の分かる人物ですが、アグラーヤはどうしたものかな。
 ボルゴ・ヴァレン王の娘婿に反旗を翻した相手、アルド・ナリスに協力するとは思えません」

 カメロンの疑念に丸い耳を傾け、注意深く聞き取るグイン。
 トパーズ色の瞳に思慮深い光を浮かべ、力の籠った口調で応える。

「クリスタルで対面の際、或る程度までは置かれている状況を理解出来た。
 レムスは竜王の支配下にあるが、何とかして束縛を逃れようとしている。
 俺は彼を数日の内に捕らえ、魔道師の助力を得て解放する心算だ。
 アルミナ王妃を同時に奪還すれば、アグラーヤ王の協力も得られるのではないかな」
 有能な外交官の一面を垣間見せ、興味深い表情で新たな情報を咀嚼するカメロン。
 国際情勢に通じた実務家、グインに劣らぬ策謀家の貌が顕れた。

「アグラーヤ王ボルゴ・ヴァレンが賛同すれば、トラキア・イフリキアも動く。
 ライゴールは老獪だし、レンティアも一筋縄では行かんでしょうが。
 当面の間は静観を決め込み、表立って反対の動
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