マブラヴ
1048話
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
上に残っているウツボへと箸を伸ばす。
今は、ただひたすらこの味を楽しむ事にしよう。
いや、視線を向けられても特に気にはしないんだが、それでもやっぱり多少は気になると言えば気になる。
『あんたねぇ……後で覚えてなさい。きっと目に物みせてあげるんだから。ランカちゃん、ラクス、美砂。アクセルの度肝をぬくような歌を歌うわよ! もっと力を込めて歌いなさい!』
『ちょ、シェリル本気? 私はこれが限界よ!』
『成せば成る。成さねばならぬ何事も。つまりやろうと思えば出来ない事はないのよ!』
『あらあら、確かにそれはそうですわね。私ももっと頑張らせて貰いますわね。キラ、私の歌を聴いて下さっていますか?』
『あ、私も……その……アルト君……』
そんな風に話している声が聞こえてくる。
何というか、色々な意味で酷いコンサートだ。
せめてもの救いは、身内だけだからこういうネタも許容範囲だという事だろうか。
個人的にはこういう行き当たりばったりなのも嫌いじゃないんだけどな。映像とかじゃなくて、直接こうやって間近で見ているからこそのやり取りは。
「ち、ち、ち、千鶴さん! スレイさんもズルいですわよ! 私だってアクセル君の力強い胸板に抱きつきたいですのに!」
「いいんちょ、人前だって事を分かってるのかしら……」
キーッとばかりに叫ぶあやかの横で、その親友の神楽坂が溜息と共に呟く。
相変わらず仲が悪いようで良いよな。
『シェリルさん、シェリルさん。次の歌、そろそろお願いします』
そんな風に聞こえてきた声は……確かランカのマネージャーのエルモだったか? 一緒にギアス世界に来てたのか。ちょっと意外だ。
……いや、そんなに意外でも何でもないか?
シェリルがシャドウミラーに所属した以上、今のランカはマクロス世界の中で押しも押されぬトップアイドルの一人だ。
そのランカが異世界に行くと言うんだから、それは当然一人でやる事は出来ないだろう。
勿論兄のオズマや恋人のアルトといった面々もいるが、それとは別にランカの所属事務所からも人を出す必要があった訳だ。
……まぁ、それで社長のエルモが来る辺り、シャドウミラーに負けない程の人材不足だとは思うが、あのエルモってのは何気に結構強いしな。
身体の動かし方を見る限りでは、相当な訓練を受けた事がある筈だ。
また同時に、エルモは一時期シェリルのマネージャーもしていた事もあって、シェリルとの相性は決して悪くはない。
現に今も、エルモの呼びかけでシェリルは気を取り直して歌の方へと意識を集中し始めたし。
シェリルにしても、一瞬で意識を切り替える事が出来る辺り、プロと言ってもいいだろう。
『……コホン。じゃあ、ちょっと聴いて頂戴。今日の為に昨日から美砂やラクス、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ