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ダンジョンに復讐を求めるの間違っているだろうか
怪物祭 (下)
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!!!」

 デイドラは誰にともなく叫ぶと、その怒りを発散するように激痛を振り切って、腰から短刀を二振り抜き放ち、トロールにがむしゃらに投擲した。
 しかし、その煉獄の焔を纏った短刀はデイドラの怒りと思いに答えるように寸分違わず、下級冒険者の攻撃なら難無く弾くトロールの腹部に抵抗なく刺さる。

 『グルアアアアアアアアアッ!!!!』

 短刀が刺さった痛みとその突き立った燃え盛る怪狼の牙からの類焼にトロールが絶呼する。
 獲物を消化しようとする粘体生物のように短刀から広がる焔はトロールの巨体をあらがう間も与えず、包み込んだ。

 『ガアアアアアアア――』

 そして、間もなくして、トロールは盛大な断末魔の途中で魔石ごと灰と化した。

 「何だよ…………それ…………」

 その一部始終をデイドラは業火の中で見ていた。
 あまりの呆気なさに、喪失感、虚無感に激痛の存在を忘れて呆然としていた。

 「中層のモンスターじゃないのか!俺よりずっと強かったのじゃないのか!」

 デイドラの怒りが萎むと伴い彼に纏わり付いていた焔も勢いを衰えさせる。

 「俺は…………俺は…………何のために………………――」

 言葉は続くことはなかった。
 デイドラは言い切る前に精神力(マインド)の枯渇とともに、倒れ込み深い眠りについたのだった。

 「デイドラっ!!デイドラっ!!」

 そのデイドラが眠りについたと同時に焔が掻き消えた路地を冒険者を連れたテュールが駆けた。
 路地だった場所、いや正しく言えばデイドラを中心にして半径二〇メートルは、海を焼き払ったとまで言われた魔剣を一兵卒まで行き渡らせていたかつてのラキア軍の猛攻があったようにすべてが灰と帰し、何も残っていなかった。
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